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人生100年時代。
長生きリスクが顕著になってきて、老々介護も問題となっています。
そんな中、「親を介護しなければならない」という状況になった時、まずは会社を辞めずに働き続けることはできないか考えてみてください。
仕事と介護の両立について、事業主は配慮しなければならない義務があります。
仕事と介護の両立について解説します。
令和3年の日本の要介護(要支援)認定者数は、約682万人です。
年々増えています。
そのため、
「介護施設に入りたいのに施設が見つからない」
という悩みを抱えている方が少なくありません。
また、「介護難民」と呼ばれている、要介護者に認定され介護施設に入居できる要件を満たしているにも関わらず、空室がないため入居できなかったり、適切な介護サービスを受けられない高齢者も増えています。
原因はいろいろありますが、介護労働者の不足のために定員を減らさざるを得ない施設が多いのが現状です。
参照:介護保険事業状況報告 令和2年度介護保険事業状況報告(年報) | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)
介護休業とは、要介護状態(負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。
対象家族1人につき3回、通算93日まで休業することができます。
要介護状態に関しては、介護認定を受けていなくてもその状態に該当すれば対象となります。
介護休業は、同一の症状の場合は93日までですが、別の症状であればさらに93日取得できます。
例えば、認知症の家族の介護をするために介護休業を使い切ってしまっても、次に脳梗塞で倒れた場合はさらに93日の介護休業を取得することが可能です。
さらに、ハローワークに会社を通して届けることで賃金が支給されない日について、介護休業給付金を受け取ることができます。
給付金は、介護休業を開始したときの「賃金日額×支給日数×67%」になります。
67%ですが、非課税なので、給料とあまり変わらないかと思います。
介護休暇とは、要介護状態にある家族の介護申請等の書類の提出や、病院への付き添いなどで会社を休む場合に使える休暇です。
1年間5日(2人であれば10日)使えます。
有給休暇が残っている人はそれを使ってもよいのですが、有休は忙しい場合に会社は拒否をすることができます。
しかし、介護休暇は拒否することはできませんので、使い勝手がよいと言えるでしょう。
また、1日休まなくても時間単位で取得が可能です。
介護休暇は、法律で有給と決まっていないので、無給の会社が多いのが現状です。
ただし、その日の賃金はありませんが欠勤扱いにはならないので、翌年の有休の出勤回数に含められ、また人事評価には影響しません。
要介護状態の家族を介護するために会社に申し出た場合は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、1か月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をさせることはできません。
また、深夜業がある業務についても会社に申し出れば免除されます。
深夜業や残業が多い会社の場合は、請求をしないと免除されませんので、早めに相談をしておきましょう。
この措置は、必ずと取り入れなければならない措置ではなく、下記の4つのうちから最低1つの制度を取り入れることが義務となっています。
短時間勤務制度
フレックスタイム制度
時差出勤制度
労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準ずる制度
多くの会社は、短時間勤務制度を採用し、2つ以上の制度を使えるようにしている所もあります。
介護休業・介護休暇・時間外労働と深夜業の制限は、法律で決められていますが最低限の義務です。
会社によっては、法律以上の内容にして福利厚生を充実している所も多いものです。
例えば、
93日の介護休業を1年(ただし、介護休業給付金は93日まで)としたり、
介護休暇を有給としたり、
テレワークを導入したり
と社員が使いやすい制度を作っています。
会社としても人手不足の今、中堅で経験もある社員を辞めさせたくないので、働きやすい職場環境を構築しているのです。
育児介護休業法の内容は、WEBや周知文章などで確認できるかと思いますが、会社のルールは確認をしなければわかりません。
会社のルールとは就業規則のことで、原則社員がいつでも自由にみられる状態にすることが法律で義務付けられています。
会社によっては、わかりにくい所もありますので、介護に直面したら早めに担当者に相談をして制度をうまく使うことが肝要です。
家族の介護のために会社を辞めるのではなく、働きながら介護ができるように工夫することが大切です。
介護は期間がわからないため、長くなればなるほど生活はひっ迫してきます。
また、施設に入居できたとしても、介護費用は年金だけでは足りません。
本来は介護者本人のお金を使うのが原則ですが、無理であれば家族として足りない分を払わなければなりません。
そのためにも会社を辞めずに働くということが、重要なのです。
会社も相談すれば、事情に応じて法律にしばられることなく臨機応変に対応してくれるケースが多くなっていますので、困ったときは相談をしましょう。