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長寿化の時代に伴い、以前であれば不要とされていたシニア向けの死亡保険の広告を見る機会もあります。
果たしてシニア向け死亡保険は必要でしょうか。
遺族年金や(死亡)退職金だけでは不足する金額を補うためです。
一方で、65歳以上のシニア世代が死亡保険に加入する主な目的は、万が一の時のご自身の葬儀代だと言われています。第5回お葬式に関する全国調査(2022年・鎌倉新書)によると、葬儀費用の平均は約110.7万円となっています。
費用の内訳は、葬儀一式の費用(基本料金)が約67.8万円、飲食代は約20.1万円、返礼品が約22.8万円となっています(お布施の費用は除く)。
なお、葬儀代は地域や規模により異なり最近は小規模な葬儀も増えてきていますが、高額になりやすい傾向にあります。
この高額になりやすい金額を死亡保険で準備しておきましょう、といった考え方が一般的です。
死亡保険は加入する年代に関係なく、保険の加入対象者(被保険者)が死亡時または特定の高度障害状態になった場合に死亡保険金を受け取ることができる保険です。
定期保険(掛け捨て)だけでなく、解約返戻金のある終身保険も取り扱っている保険会社があります。
中には80歳代前半まで加入できるものもあります。
新規で加入する場合には、年齢とともに保険料も高くなるとともに加入目的がご自身の葬儀代の場合には死亡保険金額は100万円~300万円が一般的のようです。
気になる保険料ですが、とある保険会社の例を記載します。
A社(定期保険)
男性:約5,000円(月額)、女性約2,300円(月額)
※どちらも5年ごとに保険料は上昇していく
B社(終身保険)
男性:約8,000円(月額)、女性約6,200円(月額)
※保険料の上昇なし、低解約返戻金型
シニア世代が新規で生命保険に加入する時には、保険料は高額になりがちです。
しかし、万が一のことを考えると保険は安心のうちの一つかもしれません。
どのように考えればいいのでしょうか。
月単位の掛金ではなく、10年や20年間といった長期間保険料を支払い続けた時の合計金額はいくらなのか?で考えてみましょう。
B社の終身保険の例で考えると、男性の場合は65歳から約21年保険料を支払い続けると合計金額は200万円を超えます。
しかし、死亡保障は200万円でしかありません。
令和4年簡易生命表(厚生労働省)の65歳時点での男性の平均余命(※)は19.44年です。
平均余命よりも早く万が一のことがあるのであれば、この保険を検討することもアリでしょう。
平均余命よりもかなり長生きするのであれば、毎月の保険料を積立貯蓄した方が損得勘定で言えばお得になるでしょう。
しかし、将来のことは誰にも分かるものではありません。
したがって、近い将来に万が一のことがあった場合のために葬儀代を確保しておきたい、しかし現状では確保できていないのであれば加入を検討するとよいでしょう。
(※)ある年齢の方々があと何年生きられるかいう期待値のこと。女性の65歳時点での平均余命は24.30年。
将来の万が一の時に、備えておきたい費用を現時点での貯蓄で補えることができているのであれば、加入は不要です。
また、以前から加入していた生命保険の保障内容に終身保険があれば、この場合も加入は不要と言えるでしょう。
定期保険(掛け捨て・更新型)に加入する時には、将来の保険料の上昇も確認しておきましょう。
そして、その保険料を支払うことができるのか、また、死亡保険金よりも合計の保険料が上回る年齢は何歳ぐらいなのか。さらには、最大の保障年齢まで確認しておきましょう。
終身保険(貯蓄性)に加入する時も、今後継続してその保険料を支払い続けることができるのか、低解約返戻金型の場合は、今後の解約返戻金も確認しておきましょう。
保険料の支払いが家計を圧迫することのないようにしたいものです。