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所得税には寄附額に応じて節税できる「寄附金控除」が存在しますが、競馬や競輪などの払戻金をそのまま寄附した場合、通常の寄附よりも節税効果が高くなる可能性があります。
本記事では、ギャンブルの払戻金に対する税金および、寄附金控除による節税効果について解説します。
競馬などのギャンブルで儲けは基本的に一時所得の対象となり、所得金額は次の算式で求めます。
総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得
たとえば競馬で100万円の払戻金が発生したケースにおいて、100万円を得るために20万円の馬券を購入していた場合、一時所得の金額は30万円(100万円-20万円-50万円)です。
また、一時所得は算出された金額の2分の1が課税対象になるため、最終的に15万円(30万円×1/2)に対して所得税が課されます。
ギャンブルで獲得した儲けが50万円以下であれば所得税は課されませんが、いわゆる外れ馬券は原則「収入を得るために支出した金額」に含めることができないため、実際の利益と計算上の利益が相違する点には注意が必要です。
寄附金控除は、国や地方公共団体などに対して寄附を行った際に適用できる制度で、寄附金の額に応じて所得控除が受けられます。
その年の寄附金の総額(※)-2,000円=寄附金控除額
※その年の総所得金額等の40%が上限
寄附先の条件はありますが、一般的に寄附額から2,000円を差し引いた額を寄附金控除額として控除することができます。
ただし、寄附金控除は所得控除なので、寄附した金額がそのまま所得税から差し引けるわけではないので注意してください。
先ほど競馬の払戻金100万円が発生した場合の一時所得の計算方法を説明しましたが、その払戻金100万円を全額寄附した場合、99万8,000円(※)を寄附金控除として差し引くことができます。
(※総所得金額等の40%を超えない場合に限る)
所得税は課税所得金額に応じて段階的に税率が高くなる仕組みとなっており、課税所得金額が大きい人ほど税負担が重くなりますが、所得控除の節税効果についても所得税の適用税率が高いほど上がります。
所得税の適用税率が33%の場合、一時所得15万円に対して4万9,500円の所得税が課されるのに対し、99万8,000円の寄附金控除には32万9,340円の所得税を節税する効果があります。
100万円の払戻金を得るために支払った20万円を考慮しても、寄附金控除の節税効果の方が大きいため、条件次第ではギャンブルの儲けを寄附することで効果的に節税することが可能です。
所得税は納税者の所得状況によって算出される額が異なるので、本記事で紹介した節税効果がそのまま受けられるとは限りません。
課税所得金額が大きい方は寄附金控除の節税効果も高くなりますが、課税所得金額が小さい方は所得税の税率は低いので、寄附金控除の節税効果は控えめになります。
また、給与やギャンブルの儲けは所得税だけでなく、復興特別所得税や住民税の対象にもなるため、節税効果を期待して寄附する際はご自身の所得状況等も踏まえて行ってください。