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所有不動産を確認するのに、自宅に届いた固定資産税の課税明細書は、所有不動産を知る第1歩です。
ただし、あくまで手掛かりにすぎません。
なぜなら課税明細書には、所有不動産がすべて記載されている訳ではないからです。
たとえば、個人の所有する土地が、「公共の用に供する道路(不特定多数)」として使用されていたら、固定資産税は非課税となります。
もっとも市等から地代が支払われていたら、固定資産税が、発生します。
また、市町村の区域内における同一の名義人が所有する課税標準額が
土地であれば30万円未満、
建物であれば20万未満であれば、
課税されません。
筆者の経験ですが、近隣の市に所有されていた農地の課税標準額が30万円未満だったため、その市からは固定資産税の納付書が送付されず、遺産から漏らしたことがあります。
所有しているすべての不動産を確認するには、「名寄せ台帳」または「評価証明書を全部」を取得してください。
また、
共有物件はないか、
先代名義はないのか、
確認が必要です。
固定資産税の評価額は、必ずしも法務局に届けてある地目で評価をしません。
あくまで現況地目です。
登記地目は「畑」ですが、現況地目は「雑種地」というのが、筆者の経験上の「あるある」でした。
これは、畑であった調整区域の農地を、農地転用せず現況は駐車場として利用しているといったパターンです。
すると固定資産税は、現況主義のため雑種地として課税されています。
固定資産税は、毎年1月1日の現況で課税されることになります。
一般に調整区域の雑種地の評価は、畑より高くなり、税金も高くなります。
相続税申告も、登記の筆ごとに評価するのではなく、原則、現況地目、利用単位ごとに土地の評価をします。
そのため、一般に会計事務所の作成する財産目録は、評価単位ごとになります。
例えば、畑の一部を駐車場として貸していると、一筆の土地でも、課税上○○の1と○○の2と区分して課税していることがあります。
その固定資産の課税上の区分した土地を同じ相続人が取得する場合は良いですが、別の相続人が取得するとなると、相続登記は分筆しないとできないことになります。
分筆費用も相当掛かりますので、同じ取得者とするのが現実的です。
わが家のことです。
父が亡くなり、「相続税に強い」と紹介していただいた会計事務所が作成した分割協議書について、知り合いの司法書士さんに相続登記の依頼をしました。
すると司法書士さんが、「この分割協議書では、登記ができません」と言われました。
理由を尋ねると、わが家は一筆の畑(登記上)を一部分、駐車場として利用しており、
「固定資産税の課税上は区分されていますが、登記上は分筆していないので、このままでは登記できません」
とのこと。
取得者が同じであれば登記できますが、わが家の場合、別々に取得すると相続税の申告書に分割協議書(写し)を添付し提出済みでした。
その後、司法書士さんが分割協議書を作成し直し、その土地は全て母が相続することにし、相続登記をしてもらいました。
12年後母が亡くなり、私が父より相続し相続税も支払った土地(〇〇の2)も登記上、母名義として残ってしまい、このままでは二重に相続税の税金を払うような形になっていました。
そこで、評価証明書から、その土地を抜いて(指定して)市役所から発行してもらいました。
その結果、相続税申告の2年後、税務署からお尋ねです。
ただ、父の相続時の申告書と当初の分割協議書をみせ説明したところ、ご理解いただきました。