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所得税の扶養控除の対象から「外れてしまう親族」3つのケースを解説
通勤手当に対して所得税が課されないのは、所得税法第9条の(非課税所得)に該当するからです。
会社員や公務員が勤務先から収入を得た場合、そのお金は所得税の課税対象になりますが、非課税所得の対象となる通勤手当に所得税は課されません。
ただ通勤手当のすべてが非課税になるわけではなく、給与所得者が通勤する際に支出する費用に充てるものとして、通常の給与に加算して受ける通勤手当のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分のみが非課税所得に該当します。
そのため通勤手当の名目で支給を受けていたとしても、実情が伴ってなければ非課税所得の対象から除かれ、所得税が課されることになるのでご注意ください。
所得税が課されない通勤手当には限度額が定められており、通勤方法や通勤距離によって違います。
所得税の非課税対象となる通勤手当は、電車やバスなどの交通機関の利用に伴う金額だけでなく、マイカーや自転車なども使っている人に支給される通勤手当も含まれます。
区分 | 非課税限度額 | |
交通機関または有料道路を利用している人に支給する通勤手当 | 15万円 | |
自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当
| 通勤距離が片道55㎞以上である場合 | 3万1,600円 |
通勤距離が片道45㎞以上55㎞未満である場合 | 2万8,000円 | |
通勤距離が片道35㎞以上45㎞未満である場合 | 2万4,400円 | |
通勤距離が片道25㎞以上35㎞未満である場合 | 1万8,700円 | |
通勤距離が片道15㎞以上25㎞未満である場合 | 1万2,900円 | |
通勤距離が片道10㎞以上15㎞未満である場合 | 7,100円 | |
通勤距離が片道2㎞以上10㎞未満である場合 | 4,200円 | |
通勤距離が片道2㎞未満である場合 | 0円 (全額課税対象) | |
交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券 | 15万円 | |
交通機関または有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券 | 15万円 |
電車通勤をしている会社員の方であれば、1か月15万円以内の通勤手当については非課税対象となるため、一般的な通勤距離であれば通勤手当の全額が非課税限度額以内に収まります。
マイカー通勤の方についても、通勤距離が片道2㎞以上であれば、距離に応じて非課税対象範囲が設けられています。
テレワークが世の中に浸透してきたことで、勤務先から離れた地域に住む方も増えています。
新幹線を利用すれば100㎞以上離れた場所から、出社することも可能ですが、その際に気になるのが通勤手当の取扱いです。
法律上で非課税所得の対象となる通勤手当の額は、「その者の通勤に係る運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額」と定められており、新幹線を利用した際の運賃等についても含まれるものとしています。
したがって、通勤手段として新幹線を利用することが合理的であるケースにおいては、新幹線の運賃も限度額まで非課税です。
なお、JRのグリーン券など「特別車両料金等」については、「最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額」には含まれません。
「サラリーマン増税」が話題になった要因とされるのは、政府税制調査会の中で通勤手当について触れられていた部分があったからです。
政府税制調査会は、内閣総理大臣の諮問に応じて租税制度に関することを調査・審議する機関をいいます。
第27回税制調査会の所得税の非課税所得等の項目では、
と記述されており、主な非課税所得として通勤手当が挙げられていました。
税制調査会で非課税所得のあり方が議論されたことで、「増税するのでは?」との疑念が起こり、テレビ等でサラリーマン増税とのワードが取り上げられるようになったと推察されます。
税制調査会は租税制度について調査・審議するものですので、話題になった内容が必ずしも税制改正等に繋がるとは限りませんし、通勤手当についても項目の一つとして取り上げられただけです。
筆者が拝見した限り、税制調査会の資料では通勤手当を非課税所得の対象から除外すべきとの文言は見受けられませんでした。
ただ、税制調査会の資料でも記述されていた通り、日本全体で働き方が大きく変化すれば税制も変わる可能性はゼロではありません。
一昔前までは会社員・公務員として働く方が大半でしたが、最近では個人事業主として働く方も増えています。
非課税所得になる通勤手当は、給与所得者が通勤する際に支出する費用に充てるものを対象としているため、個人事業主がクライアント等から受け取った交通費は非課税所得には該当しません。
今後個人事業主が増加すれば、通勤手当が非課税であることが給与所得者だけの特権と位置付けられ、非課税所得から外れる可能性はゼロではないです。
増税に関する税制改正はスピーディーに行われるイメージは共通していると思いますので、税制改正の話題が出たときは少し耳を傾けていただき、ご自身に関係する税金の情報はできるだけ多く集めるようにしてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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