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株式会社エスエナジーは、毎月の自宅の電気料金が最大1万円までタダ(無料)になる電力会社「タダ電」を、5月29日より開始しました。
月1万円に電気料金を抑えられれば、その月の電気料金は請求されません。
1万円以降の利用に関しては電気料金が発生しますが、例えば1万5,000円分利用したとしても、実際に支払うのは5,000円分のみです。
なぜ無料なのか気になるところですが、加入者が利用するアプリ内での広告配信や、電気を1万円以上利用する人への電気小売を主な事業としているため、その収入で賄うとのことです。
タダ電が無料なのは毎月最大1万円までの電気料金だけではありません。
月1万円で電気料金を抑えられれば、燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金も無料です。
基本料・解約手数料もありませんが、そうなると契約に縛りがあるのではと心配ですよね。
契約期間は1年ですが、納得いかなければすぐに無料で解約できます(解約・変更がない場合は1年ごとに自動継続)。
タダ電は、沖縄を除く日本全国で利用できます。
送電の仕組みやインフラも地域電力のものを使用しています。
切替工事、費用、現在の電力会社への連絡、面倒な書類送付などが一切ありません。
1万円まで無料で全国にて利用可能と一見よさそうなタダ電ですが、もちろん注意点もあります。
むしろ注意点の方が多いので、しっかり確認しましょう。
最も注意が必要なのは、1kWh当たりの単価が高い点でしょう。
電気需給約款によるとタダ電の単価は「65円/kWh」、東京電力の従量電灯Bの単価が「30円00銭~40円69銭/kWh」ですから、タダ電の単価が1.5~2倍程度高いですね。
タダ電で月1万円に電気料金を抑えるには、月の電気使用量を154kWhに抑えなければなりません。
東京電力の従量電灯Bでは、月の平均電気使用量を260kWhに想定していますが、従量電灯Bの感覚でタダ電を使うと、106kWh×65円=6,890円(燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金は別途)になる計算です。
特に、月300kWh以上利用する方はタダ電の方が高くなるかもしれませんので、オール電化のお宅は注意してください。
今後、単価が値上げされる可能性も十分にあります。
タダ電が毎月1万円無料になるのは、1日に電力供給が開始された場合です。
月途中の電力供給開始だと、月の残りの日数に応じて1万円を案分して無料で使える電力量も減ります。
4月15日から電力供給が開始された場合、無料になるのは最大4,995円分です。
既存の電力会社からの切替完了まで3~5営業日ほどかかるため、申し込んですぐには利用できません(利用開始日の指定も不可)。
月途中の電力供給開始にもかかわらず「1万円まで無料だ」と喜び勇んで、ガンガン電気を使うと大変なことになりますよ。
タダ電の申込方法は、iOSアプリからのみです。
電話やWEBサイトからの申込はできず、Androidは現在準備中とのことです。
Androidユーザーの筆者は、この時点で申し込めません。
タダ電の支払い方法は、契約者名義のクレジットカード(Visa、Mastercard、アメックス、ダイナース)のみで、JCBには対応していません。
コンビニ払いや直接支払いは取り扱っていませんので、クレジットカードを準備してください。
利用枠不足などでカード払いができない場合、支払期日の翌日~支払日の前日の日数について、年14.5%の延滞利息が発生するとともに、延滞通知手数料(330円)も請求されます。
カードの利用枠には余裕を持たせましょう。
引っ越し先でタダ電を使いたい場合は、少し面倒です。
引っ越し前にはタダ電に申し込めず、引っ越し先の地域電力会社をまず利用しなければなりません。
その後、タダ電に申し込めます。
タダ電には相談窓口の電話がなく、アプリから相談できます。
夜間や広域の停電などには対応せず、一般送配電事業者(東京電力PGなど)のカスタマーセンターへ問い合わせる必要があります。
太陽光発電と蓄電池によるオフグリッドシステム(電力会社の電力に頼らないシステム)を駆使すれば、結構使っても月154kWh以下にはできます。
また、1人暮らしで家には寝に帰る程度の人も、あまり電気を使わなさそうです。
別荘や空き家の維持・管理をする人にもいいかもしれません。
ただし、単価が上がる可能性もありますし、無料の上限が月1万円から引き下げられる可能性もあり得ます。(執筆者:キャッシュレス研究家 角野 達仁)
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