- 週間ランキング
65歳になって年金の受給資格がない方が年金を受給するにはどうすればよい?
GPIFが2001年度に市場運用を開始した時は、次のような資産配分(括弧内は乖離許容幅)で年金積立金を運用していました。
このように年金積立金の約7割は、国債などの国内債券で運用されていたため、かなりの安全運用だったのです。
しかし株価の上昇を重視する安倍元総理の意向などにより、2014年10月からは株式の割合が大幅に引き上げされたため、現在は次のような資産配分になっています。
株式の割合が引き上げされてからは、年金積立金の四半期ごとの運用成績は赤字幅が大きくなったので、マスコミや野党から多くの批判を受けました。
ただ黒字幅も大きくなったので、年金積立金の運用成績は年度あたりで見てみると、決して悪いものではないのです。
例えば直近の2022年度の収益率は+1.50%(年率)、黒字額は2兆9,536億円(年間)だったので、3年度連続の黒字になりました。
前者の収益率の内訳は次のようになるため、株式のプラスが債券のマイナスをカバーしたようです。
・国内債券:-1.74%
・国内株式:+5.54%
・外国債券:-0.12%
・外国株式:+1.84%
また第4四半期の大幅なプラスが、第1四半期から第3四半期までのマイナスをカバーしたため、年度あたりの収益率がプラスになったようです。
こういった結果から考えると、四半期という短期の運用成績は、あまり気にしない方が良いと思います。
なお2001年度に市場運用を開始してからの通算の収益率は、+3.59%(年率)になっているため、長期の運用成績も決して悪くはないのです。
政府が拠出した10兆円規模の資金を株式や債券などで運用し、その運用益で研究者を育成したり、大学の研究環境を整備したりする大学ファンドが、2021年度から開始されています。
JST(学技術振興機構)の発表によると、2022年度末時点での大学ファンドは、次のような資産配分になっていたようです。
グローバル債券と短期資産(預金など)を合わせると、資産全体の約8割を占めるため、かなりの安全運用だったようです。
それにもかかわらず2022年度の収益率は-2.2%(年率)、赤字額は604億円(年間)になったのですが、前者の収益率の内訳は次のようになります。
大学ファンドも年金積立金と同じように、株式だけは黒字になったのですが、他の資産の赤字をカバーできなかったようです。
また為替の変動によって損失が発生するリスクを抑える目的で、資産の一部に為替ヘッジを実施したため、その費用がグローバル債券の収益率を悪化させたようです。
アメリカの研究によると、運用成績の約9割は資産配分で決まるため、銘柄の選択やタイミングなどは、ほとんど影響を与えないようです。
あまり信じられない話だと思ったのですが、年金積立金と大学ファンドの2022年度の運用成績を比較してみると、資産配分が大きな影響を与えているとわかります。
また株式の割合を増やした年金積立金の方が、安全運用の大学ファンドよりも良い運用成績を残した点から考えると、ある程度は株式の割合を増やした方が良いのです。
保有する資産の中に株式を組み入れる割合は、リスク許容度(どのくらいのマイナス幅なら受け入れられるのか)などによって変わるため、なかなか難しい問題なのです。
これを決める時に参考になるのが、
もっと手軽に資産運用を始めたい方は、つみたてNISAの対象商品(金融庁が定めた厳しい基準をクリアした商品)の中に含まれている、次のような4資産均等型の投資信託を購入するのです。
・ eMAXISバランス(4資産均等型)
・ JP4資産均等バランス
・ つみたて4資産均等バランス
・ <購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
その理由としては資産配分が年金積立金に近いため、これと同じような運用成績が期待できるからです。
またリバランス(割合が上がった資産を売却し、割合が下がった資産を購入すること)の必要性がないため、資産運用にかかる手間や時間を省略できるからです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)
【年金】繰り下げを請求予定が途中で亡くなってしまった場合の取り扱いとは?
ねんきん定期便に記載がない年金の、支給漏れと繰下げ受給に注意しよう
国民年金の納付率が過去最高に達しても、年金額の少ない方が増える理由