- 週間ランキング
国民年金保険料を40年間全額免除だった場合、老齢基礎年金をいくら受給できるか
日本は1961年4月から、国民皆保険(すべての国民が何らかの公的医療保険に加入している状態)を続けています。
また公的医療保険の保険者(保険料を徴収したり、保険給付を行ったりする団体)は、次のように分かれているのです。
自営業者、農林漁業者、フリーランス、無職の方などが加入する国民健康保険の保険者は、市区町村と都道府県になります。
ただ同種の事業や業務に従事する方で組織される、国民健康保険組合に加入している場合には、各人が加入する国民健康保険組合が保険者になるのです。
会社などで働いている方と、その被扶養者(会社などで働く方に扶養されている所定の家族)が加入する健康保険の保険者は、次のような2種類に分かれています。
主に中小企業で働いている方と、その被扶養者が加入している協会けんぽの保険者は、各都道府県に支部がある全国健康保険協会になります。
この全国健康保険協会は船舶所有者に使用される船員と、その被扶養者が加入している船員保険の保険者にもなるのです。
主に大企業で働いている方と、その被扶養者が加入している組合健保の保険者は、事業主が単独または共同で設立した健康保険組合になります。
国家公務員、地方公務員、私学の教職員として働いている方と、その被扶養者が加入している共済制度の保険者は、それぞれの共済組合になります。
75歳以上の方や、一定の障害がある65歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度の保険者は、都道府県単位で設立されている後期高齢者医療広域連合になります。
マイナンバーカードをマイナ保険証として使うには、それぞれの保険者で働く担当者が、マイナンバーと資格情報(加入している公的医療保険や自己負担限度額など)を、紐付けする必要があります。
また保険者がマイナンバーを把握していない場合、住民基本台帳に登録された情報と、保険者が把握している氏名や生年月日を照らし合わせ、住民基本台帳からマイナンバーを見つけ出し、それを登録するのです。
この時に保険者で働く担当者が、登録しようと思っている方とは別の人物のマイナンバーを、登録したケースがありました。
冒頭で紹介したようなトラブルが発生したのは、このような登録ミスによる、誤った紐付けが原因だったのです。
登録ミスが起きた理由としては、登録しようと思っている方と別の人物の、氏名と生年月日が同じだったため、見つかったマイナンバーが別の人物のものであることに、気付かなかったからのようです。
また保険者が把握している生年月日が、コンピュータに入力する時のミスなどで間違っていたため、別の人物のマイナンバーを見つけたケースもありました。
つまり正しい名前と誤った生年月日に一致した人物が、住民基本台帳の中に存在したというわけです。
こういった点から考えると、マイナ保険証の誤登録の原因は、ヒューマンエラー(人間が原因になって起きるミスや事故)だったと推測されます。
基礎年金番号(どの年金制度でも共通して使用する、1人に1つだけ与えられる番号)の制度が、1997年1月に開始されました。
これを受けて各人の年金記録を、基礎年金番号に統合する作業が進められました。
しかしコンピュータに記録があっても、基礎年金番号に統合されていない年金記録が5,000万件くらい存在することが、2006年の調査で明らかになったのです。
このような年金記録問題が起きた原因の多くは、次のようなヒューマンエラーだったようです。
以上のようになりますが、基礎年金番号に統合されていない年金記録は、まだ1,700万件くらい残っているので、年金記録問題は未だに解決していないのです。
年金記録に関するヒューマンエラーは、今後も起きる可能性があるため、ねんきん定期便などで年金記録を、定期的に調べた方が良いのです。
転職の前後においては、厚生年金保険の資格取得日(原則として入社日)や、資格喪失日(原則として退職日の翌日)の誤りが生じる可能性があるため、特に注意したいところです。
また月給と標準報酬月額、賞与と標準賞与額に、大きなズレがないのかを調べるのも、ねんきん定期便などを見る時のポイントになります。
マイナ保険証の誤登録に関しては、マイナポータルにログインして、他人の資格情報と紐付けされていないのかを調べれば、誤登録の早期発見や早期解決につながります。
仮に正しく紐付けされていたとしても、転職して保険者が変わった場合には、新たな紐付けが実施されるため、この直後あたりに正しく紐付けされているのかを、改めて調べた方が良いのです。
家族が健康保険などの被扶養者になっている方は、自分だけなく家族の紐付けが正しいのかも、マイナポータルで調べておきたいところです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)
ねんきん定期便をみた人が「私の年金、増えた? 」と感じたときに考えられる3つの理由
年金は請求しないと「1円」ももらえない いつ・どこで・なにをすればいいのか解説