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マイナンバーカードの「電子証明書」は2種類 「付けるべきか否か」判断のポイントを簡単解説
現行の保険証が原則廃止され、マイナ保険に一本化された後に関して、次のような3つの懸念があるようです。
高齢者施設では高い割合で、入居者の保険証を施設が預かり、診療を受ける際には施設の職員が、医療機関の窓口に提示しているのです。
そうなるとマイナ保険に一本化された場合には、マイナンバーカードを高齢者施設が預かります。
マイナンバーカードを紛失すると、医療以外の面でも入居者が困ってしまうため、これを預かった高齢者施設は、現行の保険証よりも行き届いた管理が求められます。
またマイナンバーカードに格納された電子証明の暗証番号を、高齢者施設が把握した場合には、これが漏洩しないように管理する必要があります。
これらに対して十分な対応ができるのかを、高齢者施設の関係者などが懸念しているのです。
マイナンバーカードと電子証明書には、次のような有効期限が設けられているため、更新手続きが必要になります。
発行から10回目の誕生日まで(18歳未満は発行から5回目の誕生日まで)
年齢に関係なく、発行から5回目の誕生日まで
前者のマイナンバーカードはスマホ、パソコン、証明用写真機、郵送などでも更新手続きができます。
それに対して後者の電子証明書は、市区町村の窓口でないと更新手続きができないため、本人または代理人が足を運ぶ必要があります。
マイナンバーカードの交付申請が進んだのは、マイナポイント事業が実施された2020~2023年頃です。
そのため5年後の2025~2028年頃には、電子証明書の更新手続きのために多くの人々が、市区町村の窓口に足を運ぶのです。
これによるトラブルの発生(例えば順番待ちが多くて来庁した日に更新ができない、システムに対する負荷が大きくなって障害が起きる)を、市区町村の関係者などが懸念しているのです。
2024年秋頃に現行の保険証が原則廃止され、マイナ保険に一本化されるだけでなく、将来的にはマイナンバーカードと自動車免許が、一体化される可能性があります。
そうなるとマイナンバーカードを持ち歩く機会が、以前よりも格段に増えます。
これによってマイナンバーカードを紛失し、必要な時にマイナ保険を使えないことを、懸念する方がいるのです。
インターネットで調べてみると、日本よりもデジタルが進んでいる韓国では、17歳以上の約40%は10年間のうちに1回以上、日本のマイナンバーカードに相当する住民登録証を紛失しているそうです。
また再発行した住民登録証は10年間で、1,650万件にも達したそうなので、再発行にかかるコストの増加も懸念されます。
自営業者やフリーランスなどが加入する国民健康保険では、保険証を紛失した方が写真付きの身分証明書を持って、市区町村の窓口まで足を運ぶと、即日に再交付してくれる場合が多いのです。
また原則75歳以上の方が加入する後期高齢者医療も、同様の取り扱いをしてくれる場合が多いのです。
会社員などが加入する健康保険では、保険証を即日に再発行するのは難しいようです。
ただ中小企業の会社員などが加入する協会けんぽの場合、入社から間もないため、保険証が手元にない方は、その代わりに使える健康保険被保険者資格証明書を、原則として即日に発行できます。
一方でマイナンバーカードを紛失した場合、通常であれば再交付申請から再交付まで、1~2か月くらいかかってしまう場合が多いのです。
これによって医療機関でマイナ保険証を使えない場合、いったんは医療費の全額を、負担する可能性があります。
もちろん後日に手続きすれば還付されますが、例えば緊急手術を受けて医療費が高額になった場合には、当面の資金を準備するのが大変になると思います。
政府はこういった問題などに対応するため、マイナンバーカードの再交付申請から再交付までを、1週間以内(最短5日)に短縮する、「特急発行・交付」という制度の創設を目指しています。
この制度が2024年秋頃までに創設され、かつマイナンバーカードを紛失した方が早めに対応すれば、紛失によって必要な時にマイナ保険証を使えないなどの懸念を、かなり解消できると思います。
2023年5月からはスマホ(当面はAndroidだけであり、iPhoneに関しては交渉中)で、電子証明書の機能を利用できる制度が始まるのです。
これによって近い将来には、医療機関にスマホだけを持っていけば、資格確認の手続きが済むのです。
またマイナンバーカードがなくてもスマホがあれば、コンビニで住民票などを発行できます。
そうなるとマイナンバーカードを持ち歩く必要がなくなるため、この紛失を防げるのです。
もちろんスマホを紛失した際の情報漏洩などが、新たな問題になるかもしれませんが、マイナンバーカードの紛失が心配な方は、制度の利用を検討した方が良いと思います。
スマホがある方に関しては、高齢者施設がマイナンバーカードを預かる必要がなくなれば、これの管理に関する施設の懸念も、軽減される可能性があるのです。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)
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