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銀行で口座の開設を断られる5つのケースとその理由 元銀行員が解説
最近におけるアメリカやスイスの銀行破綻で、銀行が破綻したことや、破綻が日本にまで波及しないかといった話題が目に付きます。
ではどのような状態になったら銀行は破綻するのでしょう。
一般に企業が破綻することを、経営破綻や倒産、そして単に「潰れる」と表現しますが、民間企業である銀行もこの点は同じです。
企業の破綻は、経営の悪化などにより支払いができなくなることで、具体的には支払で3ヶ月後に支払うと約束した手形が、期日になっても資金を準備できずに支払えなかった(手形の不渡り)瞬間に倒産となります。
また、企業自らが支払不能に陥ったと公表して倒産になる場合などもあります。
銀行も原則として仕組みは一般企業と同じですが、一般企業の債務(未払いの支払や借金)にあたるのが銀行では預金になります。
そして、一般企業の債権(受け取るべき売上金や返済してもらう貸付金など)にあたるのが融資(企業への事業性融資や住宅ローンなどのローン)になります。
「銀行は預金という借金を元手に企業の事業資金や住宅ローンに融資をして、元手となった預金に返す利息と、貸付で得た利息の差額(利ざや)で商売している会社」ということになり、これを少し難しく表現すると「金融仲介機能」と呼びます。
貸し付けた融資が返済できなくなると「不良債権」となり、最悪の場合には預かっている預金を返す(満期で払い戻す)ことができなくなる可能性が出てきます。
融資以外でも、銀行では利益を得る手段として債権や株式等に投資をしていますが、その元手にも預金が含まれていますので、投資に失敗すると支払に懸念が高まります。
一般企業の場合、業績不振や親会社の倒産などから資金繰りに困りながらもなんとかしようと努力し、それでも万策尽きれば経営破綻となりますが、銀行など金融機関は実際に破綻してしまうより前に、破綻の兆候が現れた時点で監督官庁と政府から破綻処理などの命令が下ります。
これを「早期是正措置」と呼び、「この銀行は支払不能の状態になる(つまり潰れる)可能性が高いので、これから破綻処理をする」と政府に公表されることになり、この発表の瞬間が金融機関の破綻となります。
そして、一般企業なら破綻という結末まで一気に進むのと違い、金融機関は破綻が発表されたあとや、そうなる以前に水面下で買収や経営統合など救済の手段がとられます。
金融機関の破綻については「金融法」(正式には「金融機能の再生のための緊急措置に関する法律」)などに沿って処理されます。
金融機関が破綻したあとのいわゆるペイオフなども預金保険機構が対応することになっています。
平成になってからに限定しても、破綻した金融機関は大きなメガバンクから小規模まで、知られていないものもたくさんあります。
預金保険機構の資料によると、平成11年〜23年のあいだに破綻した金融機関(この場合の破綻の定義は、預金保険機構が対処した金融機関という定義です)8つの銀行、2つの信用金庫、2つの信用組合です。
筆者が調べた中には「ペイオフが発動」、元本1,000万円とその利息を超えた預金は保護されない(例外あり)ようになってから破綻した日本振興銀行では最終的に約41億円の預金は保護されず戻ってきませんでした。
参照:預金保険機構
日本振興銀行の事例は意外と知られておらず、それは「ペイオフでカットされた預金約41億円は預金者全体、預金総額全体からすればほんの一部で済んだ」という当時の記事見出しにもあります。
全体から見ればわずかでも実際に預金を失った人からすればどうでしょうか。
最近の日本で銀行が破綻して預金を失った人がいるという事実は覚えておくべきでしょう。
自分がその当事者にならないように、どのようにすればいいのか解説します。
潰れそうな銀行があったとしても、それを外部の人が知ることは不可能です。
金融機関の破綻が経済や社会全体に大きな影響を与えることは、最近の報道やニュースを見てもわかります。
そのため破綻しそうな銀行があったとして、その情報は厳重に秘匿されるのです。
過去の例でも、報道やニュースでは「今日破綻しました」といきなり発表されるのが一般的です。
たとえば日本振興銀行の場合も、当日に破綻した事実を伝える記事だけで、予告あるいは注意喚起を声高に訴える記事も見当たりません。
やはり報道に関しては、社会に与える影響もあり慎重な姿勢になるのかもしれません。
新聞や報道から事前に破綻を察知するのは無理だと考えます。
≪画像元:預金保険機構≫
今度は報道ではなく、破綻しそうな銀行の内側ではどうでしょう。
これは破綻した都市銀行(当時・現在のメガバンク)でインタビューに答え「こんな銀行もっと前に破綻するべきだった」といった発言で話題になった銀行員の回顧録であった話しですが、中にいた銀行員は全くと言っていいほど破綻について知らなかったようです。
実際には、この銀行員の方は本社勤務だったので監督官庁の役人が頻繁に出入りしたり、銀行役員が官庁に日参したりしていたので「怪しい」と感じてはいても、まさか破綻するとは思わず、もちろんそういった話しも全く聞いていなかったそうです。
本社にいる人間ですらこのような状況だったので、一般の支店にいる銀行員はそれこそ「寝耳に水」だったようです。
破綻する可能性というよりも、その銀行の経営がどれ程度健全かを示す数値があり、これらは「健全性の指標」などと呼ばれています。
銀行の健全性の指標
自己資本(資本金や利益などの内部留保)が総資産に対しどのくらいあるかを示すもので、自己資本が大きいほど不良資産処理などに対応できる、つまり銀行の基礎体力を表す数値です。
銀行の自己資本は数値で規制されており、国内のみで営業する場合は4%、海外に支店があるなど国際的な規模の場合は8%以上の資本金が必要とされている(バーゼル規制)万一この基準に達していない場合は監督官庁から是正するよう命令されます。
不良債権(業績不良などで返済ができなくなった融資のこと)が、銀行全体の融資残高に対してどのくらいあるかを示すものです。
単にその比率が高いからといって即座に危ない銀行とは言えず、「引当金処理(利益の中から不良債権に相当する金額を差し引いて、処理する場合に備えるもの)など総合的に判断します。
国際的な格付の専門会社が銀行の財務内容などから採点していくもので、簡単アルファベットを用いた記号「AAA(トリプルエー)」「BB(ダブルビー)」などで表わします。
こうした銀行の各種指標や財務内容は「ディスクロージャー誌」などと呼ばれる銀行の公表資料に記載され、公式ホームページなどで見られます。
私の銀行員としての経験や、諸先輩からの話により、破綻しそうな銀行の発する「サイン」もあると考えています。
「潰れた銀行はこうだった」という、都市伝説的な話もありますが参考にいくつか紹介します。
現時点で、経営状態が悪く破綻しそうな銀行はない(はずです)し、海外の銀行破綻が今すぐ国内銀行に連鎖することもないと銀行員は考えています。
銀行内部でも「あの銀行はヤバそうだ」などという声を聞くこともありません。
過去の経験を糧にして、日本の金融システムは強化されてきましたので、そう簡単につぶれることは無いと考えていますし、銀行員として私はお客様にもそう答えています。
過度に不安をあおるような言葉は、付随して何かの意図(本や記事への誘導や、サービスのセールスなど)が働いている場合もあるので、冷静に慎重に判断することが、自身の資産を守る最大の防御です。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)
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