ミックスローン」とは、マイホームの住宅ローンを借りるとき、複数のローンを組み合わせることです。

一生に1回か2回か住宅ローン利用の中で、その言葉を聞くのも少ないかも知れません。

「ミックスローンを使うなんて先進的で計画的」印象をもあるでしょう。

今回はミックスローンについて「金利の平準化」と「返済期間の複数化」でシミュレーションし、筆者の見解をまとめます。

返済中の住宅ローン変動金利が「1%」上昇したら返済額はどのくらい増えるか

ミックスローンとは

マイホームを購入する際の住宅ローンで、金利タイプや返済期間等が異なる2つ以上ローンを組み合わせるものです。

典型的な例は、金利が変わらない全期間固定と、金利が低い変動金利を組み合わせるなど、双方のいいところを合わせるローンです。

金利上昇のリスクを避け、固定金利よりも返済負担が軽くなる場合あります

ミドルリスクミドルリターンを狙います。

また将来に支出の増加や収入の低減が想定される場合、その期間に合わせて複数の住宅ローンを設定し、ローン完済時期を複数設定することもできます

シミュレーション 「金利の平準化」

全期間固定と変動金利のミックスローンと10年固定の金利を比較します。

金利は変動0.5%、全期間固定1.5%、10年固定1%としました。

4,000万円35年返済の住宅ローンを想定し、2,000万ずつとします。

2,000万円を35年で住宅ローンを組むと、0.5%で月毎返済額は5万1,917円

1.5%で月毎返済額は6万1,236円。

合計11万3,153円となります。

10年固定で4,000万円1%だと月々の返済額は11万2,914円

計算の誤差がありますが、ほぼ同額となります。

このようにミックスローンとで平準化した金利と、10年固定金利が同水準であったと仮定した場合、金利以外の比較をしましょう。

「期間と利息」の関係を比較

変動金利は半年毎に変更されます。

今回のミックスローンだと、変動金利で改定された金利の半分が、適応となります。

たとえば変動金利が0.3%上昇したとき、0.15%上昇します。

変動金利は半年毎に金利が変わる可能性があります。

10年固定金利は、少なくても10年間は金利が変わりません。

手数料の比較

住宅ローンを組む際の手数料とは、以下のものです。

  • ローン会社への事務手数料
  • 司法書士へ登記費用、手数料
  • 火災保険の手数料

ミックスローンの手数料は各機関によって多種多様です。

原則として契約が複数になれば、それに合わせて手数料が増える可能性があります

場合によっては、単一の住宅ローンより、10万円以上の費用負担が発生する可能性があります。

これからか今回のシミュレーションは、以下の結果を報告します。

  • 全期間固定金利の金利が低いときに契約できれば、メリットが大きくなる。
  • ミックスした金利が10年固定より高利な場合は、10年固定の方のリスクが低い。
  • 手数料が多額になればなるほど、メリットは少ない。

返済期間の複数化

4,000万円の借入希望者です。

設定は、子供の教育資金の関係があり、当初10年は15万程度の支払が可能です。

10年後は11万程度に抑える必要があります。

(1) ミックスローンで二本の住宅ローンを組みます

3,500万、35年、1.5%、月毎返済額10万7,164円。

500万、10年、1%、月毎4万3,802円。

35年間の総支払額は、 ¥5,026万5,540

(2) 4,000万の住宅ローン。

35年、1.5%、月毎返済額12万2,473円

10年間12万2,473円を返済しながら、(1) の当初10年間の差額 2万8,494円を貯金((10万7,165+4万3,802-12万2,473)

10年合計で341万9,280円。

10年後に繰り上げ返済し、返済額低減型を選択。

毎月の返済額が10万8,796円に

35年間の総支払額は5,075万4,840円

(1) と (2) の比較

(1) が (2) に比べ、返済総額が48万9,300円低減した。

35年を420回で割ると、1か月あたり1,165円の低減

今回は10年で返済予定のミックスローン金利分を、10年固定の金利にしたので、(1) の総返済額が低くなった。

ただし今回のシミュレーションには、(1)の手数料が含まれていない

(1) の手数料によっては、メリットが少なくなります。

詳細なシミュレーションをしましょう

今回のシミュレーションで、「金利の平準化」ではミックスローンのメリットは見いだせませんでした。

「返済期間の複数化」では、短期間で設定するローンの金利を安全に下げられたので、メリットがありました。

ミックスローンはかなり詳細なシミュレーションをしないと、結果的に損失が出そうです

とにかく住宅ローンを組む際の手数料が高額になると、損することになってしまいます。

なお、ミックスローン自体を導入している金融機関はあまり多くありません

ミックスローンを検討する際は、ファイナンシャルプランナー等と綿密に相談するようにしてください。(執筆者:CFP、1級FP技能士 金 弘碩)

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 「ミックスローン」は賢い選択か 金利、返済期間でシミュレーション