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【年金額改定】令和5年度の老齢基礎年金の満額は、人によって違う?
産前産後期間の免除制度が導入された後の国民年金の保険料は、次のように推移しています。
・ 2019年4月~2020年3月(2019年度):月1万6,410円
・ 2020年4月~2021年3月(2020年度):月1万6,540円
・ 2021年4月~2022年3月(2021年度):月1万6,610円
・ 2022年4月~2023年3月(2022年度):月1万6,590円
保険料の増額が止まったため、もう変動しないはずなのに、新年度が始まる4月になると少しだけ、増額または減額されているのです。
この理由としては物価や賃金の変動に合わせて、保険料の金額を毎年度改定しているからです。
2023年1月に厚生労働省から、2024年度の国民年金の保険料が発表されました。
昨年の同時期に発表された、2023年度の国民年金の保険料は、2022年度より70円ほど少ない月1万6,520円でした。
一方で2024年度の国民年金の保険料は、物価や賃金の変動により、2023年度より460円も多い月1万6,980円になるようです。
この金額は1961年4月に、国民年金の保険料の徴収が始まってからの約60年の歴史の中で、過去最高額になるのです。
また大幅な物価上昇と、それに対応するための賃金上昇が続いているため、2025年度も過去最高を更新する可能性があるのです。
そのため負担増を抑えるための対策を各人が考え、実施する必要があると思います。
2023年度に納付する国民年金の保険料は、上記のように月1万6,520円になります。
この保険料を所定の期間分だけ前納すると、次のような金額の割引が適用されるのです。
・ 現金納付:9万8,310円(毎月納付よりも810円の割引)
・ 口座振替:9万7,990円(毎月納付よりも1,130円の割引)
・ 現金納付:19万4,720円(毎月納付よりも3,520円の割引)
・ 口座振替:19万4,090円(毎月納付よりも4,150円の割引)
・ 現金納付:38万7,170円(毎月納付よりも1万4,830円の割引)
・ 口座振替:38万5,900円(毎月納付よりも1万6,100円の割引)
これを見るとわかるように、口座振替で保険料を前納すると、現金納付の前納より保険料が安くなります。
また6か月分(4~9月)、1年分、2年分の保険料を、口座振替で前納したい場合、新年度が始まって保険料の金額が変わる直前の2月末が、申込みの期限になります。
そうなると2024年2月末までに手続きを済ませ、できるだけ長期間の保険料を前納すると、2024年度以降の負担増を抑えられるのです。
もし前納するほどの資金がない場合には、口座振替による毎月納付で月50円ほど保険料が安くなる早割を、利用した方が良いと思います。
またクレジットカードで前納した時の割引額は、現金前納と同じになりますが、国民年金の保険料の納付をポイント還元の対象にしている場合、その分だけお得になるのです。
前納による割引よりも、国民年金の保険料を安くできる制度があり、それは一部免除(4分の3免除、半額免除、4分の1免除)になります。
例えば2023年度の場合、月1万6,520円という国民年金の保険料は、次のような金額まで安くなるのです。
・ 4分の3免除:月4,130円
・ 半額免除:月8,260円
・ 4分の1免除:月1万2,390円
これらの一部免除を受けるには、所定の申請が必要になると共に、収入(所得)の要件を満たす必要があります。
例えば会社員などの給与所得者の場合、「国民年金保険料の免除申請について」によると、前年の年収が次のような金額以下なら、4分の1免除を受けられる可能性があるのです。
・ 単身世帯:296万円
・ 2人世帯(夫婦のみ):376万円
・ 4人世帯(夫婦と16歳未満の子供が2名):486万円
日本人の平均年収は400万円程度なので、申請すれば4分の1免除を受けられる方は、意外に多いのではないかと思います。
一部免除を受けた期間は、原則65歳になると国民年金から支給される老齢基礎年金に対して、次のような割合で反映されます。
・ 4分の3免除:1か月分の保険料を納付した場合の「8分の5」
・ 半額免除:1か月分の保険料を納付した場合の「8分の6」
・ 4分の1免除:1か月分の保険料を納付した場合の「8分の7」
このように例えば半額免除を受けて、保険料を半分しか納付しなかった場合でも、その期間の老齢基礎年金は半分にならないのです。
その理由として老齢基礎年金の財源の2分の1は、消費税などの税金を元にした、国庫負担になっているからです。
なおマイナンバーカードを保有している方は、マイナポータルにログインすると、全額免除や一部免除の電子申請ができます。
これにより市役所や年金事務所まで足を運ぶ必要がなく、かつ書類を郵送する必要もないので、従来よりも簡単に申請ができると思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)
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