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年金事務所への請求手続きとは別に請求手続きが必要となる「厚生年金基金」とは
今よりも平均余命が短かった当時では、65歳までが厚生年金に加入できる上限年齢でした。
その後、2022年4月以降は現在の70歳までとなり、この背景には年金の財政的な問題も無視できませんが、医療の発展による平均余命の延び等を勘案した結果として、5歳延長された背景があります。
言い換えると、会社員として定年後も再雇用職員あるいはパートタイマーとして働く場合、70歳までは加入対象ということです。
ただし、短時間で働く場合は加入対象とならない場合(詳細後述)があり、会社に籍はあるが、社会保険は加入していない(保険料も引かれない)状態もあり得ます。
一般的に社会保険加入対象となる労働時間とは、正社員の4分の3以上働く場合です。
厳密には、次のポイントをいずれも満たしている場合は加入対象者となります。
(1) 1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上
(2) 1か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上
例えば、正社員が週に40時間の所定労働時間(契約上働くべき時間)で月に20日勤務の会社の場合、定年再雇用後に週に32時間かつ月に16日勤務の労働条件で契約したとしましょう。この場合は引き続き加入対象という理解です。
なお、「パート」や「アルバイト」など、名称は問わず、前述のポイントをいずれも満たす場合は加入対象になります。
それだけでなく、2022年10月からは社会保険の適用拡大によって、以下のポイントをいずれも満たしている場合も加入対象です。
(1) 週の所定労働時間が20時間以上であること
(2) 雇用期間が2か月を超える見込みであること
(3) 賃金の月額8万8,000円以上であること
(4) 学生でないこと
(5) 被保険者の総数が101人以上
(5)の「101人以上」については、わかりづらい部分であり、直近12か月のうち6か月で基準を上回れば適用拡大の対象になります。
かつ、この「101人以上」は、2024年10月以降「51人以上」へと対象が広がります。
「51人以上」となれば相当数の会社まで対象が広がると考えられます。
「すでに年金をもらい始めているのに保険料を引かれるのは、将来の年金額UPにつながるのであれば納得できるが、退職してからでないと反映されないと聞いた。それは、長く働くだけ損をすることにつながらないか?」
との相談内容がありました。
しかし、この点については「在職定時改定」という新たな制度が導入されました。
端的には、給与天引きによって納めた保険料が、より早期に年金額へ反映されることとなります。
言い換えると、退職を待たずに、年金額のUPが視覚的にも確認できるようになったということです。
また、この改定は年に1度は行われます。
具体的には65歳以上の厚生年金加入者が9月1日時点で、前月である8月までの加入実績を勘案して10月の年金額から改定が行われるという仕組みです。
振込ベースでは10月分と11月分の年金は12月に振り込まれることとなりますので、毎年12月以降の年金受給時に実感できるということです。
厚生年金から支給される老後の年金は「報酬比例」と言い、可能な限り高い給与(賞与)水準で長く働けば働くほど高い年金を受給できるという構造になっています。
ただし、給与額については必ずしもビジネスパーソン個々人でコントロールできない部分が多く、可能な限り長く(もちろん健康面での視点も持ちつつ)加入することで年金額を増やすことは可能です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)
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