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「103万超えてるけど、大丈夫だろ...」 マイナンバー制度で今年の年末調整はごまかせない 虚偽の申告が発覚するカラクリ
会社員に対して課税される所得税は、次のような手順で計算する場合が多いのです。
(A) 1月~12月の給与収入の合計額-給与所得控除=給与所得
(B) 給与所得-所得控除の合計額=課税所得
(C) 課税所得×税率-税額控除の合計額=所得税
こういった仕組みのため、例えば次のような状況が生じた時には、その翌年以降に確定申告を実施すると、お得になる可能性があります。
所定の要件を満たす住宅を購入した時には、(C) に記載した税額控除の一種である、住宅ローン控除を受けられます。
この住民ローン控除は年末調整で受けられますが、控除を受ける最初の年だけは確定申告が必須になるのです。
一定額以上の医療費を支払った時には、 (B) に記載した所得控除の一種である、医療費控除を受けられます。
また扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除などの所得控除は、年末調整で受けられますが、医療費控除は確定申告を実施しないと受けられないため、この手続きが必要になるのです。
その他の所得控除としては、生命保険の保険料を支払った時に受けられる、生命保険料控除があります。
またiDeCo(個人型の確定拠出年金)の掛金を拠出した時に受けられる、小規模企業共済等掛金控除があります。
これらの所得控除は年末調整で受けられますが、勤務先に提出した年末調整の書類に記入漏れがあって、控除を受けられなかった場合には、確定申告で控除を受けるのです。
以上のようになりますが、こういった税額控除や所得控除を受けると、給与から控除された所得税が還付されるため、お得になるというわけです。
また所得税の還付を受けるための確定申告(還付申告)の期限は、これらが生じた年の翌年1月1日から5年になるため、混雑している2月~3月頃に実施しなくても良いのです。
会社員は原則として確定申告の必要がないのですが、例えば次のような状況が生じた時には、その翌年に確定申告を実施する必要があります。
1月~12月の給与収入の合計額が2,000万円を超えると、年末調整はできないからです。
雇用されない内職などの副業の場合、1月~12月の収入の合計額から、その収入を得るために使った必要経費を差し引いたものが、年間の所得(雑所得)になります。
こういった副業による給与所得以外の所得が、年間で20万円を超えた場合には、確定申告を実施する必要があります。
一時金で受け取った生命保険の満期保険金や解約返戻金は、一時所得として取り扱われる場合が多いのです。
また満期保険金や解約返戻金から、これらを得るために支払った保険料と、特別控除額の50万円を差し引いたものが、一時所得になるのです。
ただ (2) に記載したように、給与所得以外の所得が20万円以下なら、確定申告の必要はありません。
そのため満期保険金や解約返戻金から、支払った保険料を差し引いた段階で70万円以下の場合、ここから特別控除額の50万円を差し引くと20万円以下になるため、確定申告を実施しなくても良いのです。
なお配偶者控除の対象になっている妻が、満期保険金や解約返戻金を受けった場合、その年だけは妻の所得が上がるため、一時所得の金額によっては、夫が配偶者控除を受けられない場合があります。
もし要件を満たしていないのに、夫が年末調整で配偶者控除を受けていた場合には、確定申告で夫の所得などを訂正する必要があるのです。
以上のようになりますが、 (2) や (3) に記載したように、給与所得以外の所得が20万円を超えなければ、確定申告の必要はありません。
しかし20万円を超えなくても、住民税申告は必要になるため、所得税と住民税でルールが違うのです。
年の途中で会社などを退職し、その年の12月まで無職だった場合、年末調整を受けていないため、自分で確定申告を実施して、所得税の過不足を精算する必要があります。
退職した年の翌年も無職だった場合には、収入を得ていないため、確定申告の必要はなくなります。
また住民税申告の必要もないのですが、配偶者の扶養に入っている場合などを除き、住民税申告だけは実施した方が良いのです。
その理由としては市区町村が、収入の状況などを把握できないため、次のような恩恵を受けられない場合があるからです。
・ 国民健康保険の減免、国民年金の免除
・ 住民税非課税世帯を対象にした給付金(商品券)
・ 保育所などの保育料の減免
・ 高額療養費制度の自己負担限度額(負担する医療費の上限)の引き下げ
無職の場合には住民税申告の際に、収入などを記入する必要がないため、書類の記入は簡単に済むと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)
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