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「日経平均」vs 「S&P500」 過去5年~30年間、投資していたらどうなっていたか試算してみた
2023年は世界中で景気後退が懸念されています。
IMF(国際通貨基金)が昨年10月に発表した「世界経済見通し」において2023年は多くの国で経済成長率が鈍化、特に先進国地域における成長率が一段と低くなる予想が出ております。
米国においてももちろん例外ではなく、2023年中に景気後退入りするという見方が多数となっているのが現状です。
インフレを抑えるために行ってきた急激な利上げが企業に与える影響は小さくありません。
各企業の決算発表のたびに、いつも以上に株価が大きく上下する可能性が高いでしょう。
株価へ大きな影響を与えるのは「実際の景気後退」ではなく「景気後退入りの思惑」です。
これまでの利上げ政策の転換から金利維持、そして利下げへ転じるというのが一連の流れですが、「利下げに転じる=景気後退入りする」と市場の多数が判断した時に株価が大きく下落することになります。
つまり実際に景気後退入りしたから株価が下がるのではなく、景気後退入りすることが確実だと思われたから株価が下がるのです。
相場は事実よりも思惑や噂で動くものです。
利下げに転じるということは「国が景気後退を懸念している」という合図と捉えられ、投資家は我先にと動きます。
仮にまだ景気後退が来ていなかったとしても株価は大きく下落する流れとなる可能性が高いといえます。
2022年1月には1ドル115円ほどだった為替が10月には150円を超える円安となりました。
米国が相次いで行った政策金利の引き上げの影響を受け、歴史的な円安となったことは大きく報道されている通りです。
利率の低い円を売って利率の高いドルを買う流れが強かったため円の価値が落ち、歴史的な円安となった形です。
日銀がこれまで「これ以上は金利を上げさせない」としていた水準の上限金利0.25%を見直し、0.5%までは許容するとした事実上の利上げをサプライズで行ったことが発端です。
これを発表した途端、金利は0.5%まで上昇、米国との金利差が縮小する形となりました。
これまで一貫して「金利は上げない」と発表していた日銀が政策転換を行ったことは大きな変化です。
米国ではインフレに落ち着きが見え始めたため利上げ幅の縮小、2023年後半には利下げに転じるとの観測が出ております。
対して日本では今になって利上げ観測が浮上してきた形になるので、円安から一転、円高が進むこととなりました。
日銀の政策発表が行われた2022年末には1ドル130円台、そして2023年1月現在では1ドル120円台にも突入しています。
昨年の20%を超える米国株の下落にもかかわらず大きな含み損とならなかった理由は歴史的な円安があったからです。
これを裏付けるかのように昨年末の円高によってこれまでの含み益が大きく減損したのは記憶に新しいかと思います。
2022年に投資を始めた方はこれまでの含み益がなくなり、含み損へ突入してしまったのではないでしょうか。
為替がどれだけ大きく影響するかが見て取れます。
今後は「日本でも金利上昇が起こり得る」という布石を打ったことになり、より一層難しい相場が待ち受けているかもしれません。
日本、米国それぞれの政策変更が我々の資産に打撃となる可能性があるのが今年2023年です。
仮に米国の景気後退と円高の両方に襲われることになると米国株資産は大きく減損しますが、狼狽売りは避けなければなりません。
暴落は長くても数年で終わり、今度は暴騰がきます。
数年単位で暴落と暴騰を繰り返し、長期で見ると成長しているのが米国株です。
積立投資は数年先のためではなく、数十年先のために実践しているはずです。
例え2023年に大きな暴落に襲われても、それは長い期間で考えるとちょっとした誤差です。
積立投資家にとっては安く仕込むことができる絶好のチャンスとなります。
暴落時に安い金額で買えれば買えるほど将来の資産の大きな成長につながります。
これが資産をしっかりと育てるために大切な考え方となります。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)
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