確定申告で医療費控除や寄附金控除を適用し、還付金を受け取る方も多いと思います。

通常、還付金は2か月以内に振り込まれますが、国税庁は不正還付対策の影響で振り込みが遅くなる可能性を示唆しています。

今回は所得税の不正還付の概要と、すぐに還付金を受け取るためのポイントを解説します。

収入や貯蓄が少ない方は、「給与所得の源泉徴収票」を捨てない方が良い

所得税の不正還付って何?

不正還付とは、

  • 架空の源泉徴収税額を申告書に記載したり、
  • 適用できない所得控除・税額控除を差し引くことで、

不正に税金の還付を受けようとすることをいいます。

会社員やパート・アルバイトなどは会社で税金が天引きされますが、先に納めた金額が実際に納めるべき金額よりも多かった場合、確定申告をすることで払いすぎた分の税金が還付されます。

不正還付は支払ってもいない税金を支払っているように見せかけるなど、国を騙してお金を得ようとする行為ですので、バレれば税務調査で指摘されることはもちろんのこと、持続化給付金の不正受給のように逮捕される可能性もあります。

不正還付申告の処理状況と摘発方法

令和3事務年度の不正還付申告書の課税処理件数は191件と、前事務年度の182件よりも摘発件数は増加しており、追徴税額は2億711万5千円と前年比167%です。

税務署が不正還付申告書を把握する手段としては、

  • 源泉徴収先の会社等へ給与の支払実績を確認したり、
  • 医療費の領収書の提示を求める方法

などがあります。

確定申告書に事実ではない数字を記載すると整合性が取れなくなるため、完璧に騙すことはできません

不正還付の可能性が高い場合、税務署職員が納税者の自宅や事務所に訪れることがありますし、税務署が悪質な不正還付申告と判断した際は、刑事上の責任追及が行われることも考えられます。

還付金の振り込みを遅らせないためのポイント

還付金を滞りなく受けるためには、申告書を提出する時点で必要書類や本人確認書類を提示・提出することが大切です。

確定申告書を提出すると、税務署は申告内容が正しいのか確認するため、申告書の内容や納税者の個人番号(マイナンバー)の記載および、本人確認を実施します。

還付申告書に個人番号が記載されていない場合、不正還付を防止するために本人確認を行うのですが、チェックが完了するまで還付手続きはストッします。

確定申告時期の終盤は申告書が大量に提出されるため、チェック作業を要する申告の還付手続きは後回しとなるのでご注意ください。

高額還付ほどチェックは厳しくなる

不正還付は還付金額が高額なケースほど疑われますので、申告書は記載漏れがないよう、正しく作成してください。

たとえば確定申告書には、源泉徴収税額の記載欄に給与先等の住所・氏名を書きますが、申告書に金額だけしか書かれていなければ、事実関係が確認できるまで還付金の支払い手続きはストップします。

確定申告で提出する書類は省略できるものも多いですが、税務署から書類等の提示(提出)を求められることもありますので、書類は破棄せず保管しておいてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 還付金の振り込みが遅くなる?国税庁が所得税の不正還付対応を強化 すぐに還付金を受け取るためのポイントとは