年末年始や連休で、離れて暮らしている家族に久々に会うと前よりも弱ってきている気がする、このままで大丈夫なのだろうか等と感じられる方もいるのではないでしょうか。

そんな時に、介護サービスの利用を検討される方は多いです。

今回は、いざという時の為に知っておきたい介護サービス利用までの流れや費用についてご紹介します。

ボーナス支給額は変わらないのに、手取りダウン...その理由は?

まずは、介護保険の申請を

介護サービスを利用する為には、最初に、住んでいる市区町村の窓口で要介護認定の申請を行う必要があります。

その際に、65歳になるとお住まいの市区町村から送られてくる「介護保険者証」が必要となります。

後期高齢者の方ですとかなり前に送付されていますので、紛失されている可能性があります。

その場合でも申請できますので、紛失していることを申請時に伝えましょう。

40歳から64歳までの医療保険加入者の方は、16の特定疾病により要介護(要支援)状態となっている場合に、要介護認定の申請が可能です。

その際は、介護保険証の代わりに医療保険者の被保険者証のコピーが必要になります。※1

申請後は、認定調査員が訪問し、申請された方がどれくらいの身体機能や精神面、認知機能でいらっしゃるのか、ご家族にどのような介護の手間が生じているのかを聞き取る「認定調査」が行われます。

同時に、申請時に申告したかかりつけ医に、市区町村から、医師からみた心身の状況の意見書「主治医意見書」の作成依頼が出され、作成されます。

介護保険の申請や認定、認定調査や主治医の意見書には、費用はかかりません。

認定調査の結果と主治医の意見書が市区町村に提出された後は、認定調査の結果と主治医意見書の一部を利用し、コンピューターによる一次判定が行われます。

一次判定の結果と主治医の意見書に基づき、介護認定審査会による二次判定が行われます。

その判定結果に基づき、市区町村が要介護度認定を行い、申請者に結果を通知します。

原則的に、申請から認定の通知までは、30日以内とされていますが、訪問調査の日程や、主治医の意見書の提出、介護認定審査会の日程などにより、実際には1か月以上かかることが多いです。

緊急性がある場合やすぐに介護サービスを利用したい場合には、申請後に、現在のご本人の状態で、推測した介護度を用い、暫定的に介護サービスを利用することができます。

次は、実際に介護サービスを利用するまでの流れを見ていきます。

参照:厚生労働省

※1介護保険制度について(40歳になられた方へ)

介護サービスを利用する前に行わなければならないこととは

介護サービスはケアプランに沿って提供されていますので、本人の状況に合わせてケアプランを作成します。

ケアプランの作成方法は2種類あります。

セルフケアプラン(無料)

セルフケアプランはご本人やご家族で作成する方法です。

しかし、その場合、介護サービスをどれだけ利用したかという利用の実績を、市区町村の窓口に、1か月ごとに提出しなければならない為、あまり現実的ではありません

居宅介護支援事業所に依頼(無料)

もう1つは、居宅介護支援事業所にケアプランの作成や利用料金の実績管理等を依頼する方法です。

居宅介護支援事業所では、ケアマネージャーが介護の相談やケアプランの作成、利用料金の実績管理等を行います。

ケアマネージャーの利用料金は、全額介護保険からの給付になる為、利用者負担はありません。

しかし、介護保険の財政悪化により、ケアマネジャーの利用料金の利用者負担が検討されていますので、将来的に自己負担が生じる可能性があります。

どういった居宅介護支援事業所があるのかを知る方法としては、市区町村の窓口や地域包括支援センターで名簿等をもらうことができます。

地域包括支援センターでは、居宅介護支援事業所を決める相談にも乗ってもらえますので、悩んでいる場合は相談してみましょう。

居宅介護支援事業所もさまざまで所属人数が多い事務所、ベテランが多い事務所等特色があります。

利用したい介護サービス事業所と同じ系列であれば、連絡が密になり、本人の細かい様子が伝わりやすい等のメリットがあります。

独立した居宅介護支援事業所であれば、より客観的に介護サービス事業所を説明できます。

ケアプランを決めた後は、各介護サービス事業所と契約を結びます。

そして各介護サービス事業所とご本人、ご家族との間で、サービス利用時に行われる内容の計画を決めていきます。

実際に1か月どれくらい利用できるのか

要介護認定されると、要介護度の入った介護保険証が送られてきます。

介護保険証には、介護保険から給付される1か月間の上限額、「区分支給限度額」が記載されています。

要介護状態区分区分支給限度額
要支援15,032単位
要支援210,531単位
要介護116,765単位
要介護219,705単位
要介護327,048単位
要介護430,938単位
要介護536,217単位

参照:目黒区 区分支給限度額

介護サービスは、各サービスの単価が単位数で示されます。

この区分支給限度額は、そのまま自己負担額が1割の方の1か月分の利用金額(円)の上限になります。

各サービスの利用した単位数を1か月間合計し、区分支給限度額を超えた単位数は、介護保険の給付がなく自費になります。

その場合は、1単位10円となります。

週何回どの介護サービスを利用するか計画し、合計した単位数が、1割の方の自己負担額になります。

2割、3割負担の方も単位数の合計と区分支給限度額は1割負担の方と変わりません。

合計単位数を自己負担額と考える際に、合計単位数を2倍、3倍した金額が、自己負担額になります。

参照:デイサービスセンターつくしケアハウスわらび園(pdf)、ワムネット(pdf)

家族内で話合っておくことも大事

今回は、介護サービス利用の流れや費用を見てきました。

申請後、暫定的に介護サービスを利用できるとは言え、よほどの緊急性がない限り、担当者会議の開催やケアプラン作成等の手順を踏まなければならない為、申請した日から利用することは難しいことです。

では、いざという時の為に、今は利用予定がないけれど、認定だけもらっておこうかなと思われる方もいるかと思います。

しかし、現在、介護保険の流れは、利用予定のない方の要介護認定の申請をしないようにという方向になってきています。

事前に認定を受けていても、実際に利用しようと思った時には、以前に降りた認定と異なる状態になられていることが多く、その場合、再度、要介護認定の区分変更申請を行ない、再度認定調査を受ける必要があるのです。

それを考えると、事前に認定があるから安心、というわけにはいかないということ気づいていもらえると思います。

認定をいかに重くとるかということよりも、いざという時の為に、家族内で介護に必要なお金はどれくらいかけられるのか、だれが中心となって動くのか等を話し合ってみることをおすすめします。(執筆者:現役老人ホーム施設長 佐々木 政子)

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 いざへの備え 「介護保険」の流れや費用を知っておく