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【ねんきん定期便を確認!】「年金未納で約2,100万円の差し押さえ」を、他人事と思ってはいけない
年末調整の直前になると勤務先から、次のような3つの書類が配布されると思います。
(A)給与所得者の保険料控除申告書
(B)給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
(C)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
この中の(A)と(B)は年末調整の際に、正しい金額の所得税を算出するために使用します。
一方で(C)は翌年1月以降の給与から控除する、概算額の所得税を算出するために使用します。
例えば親族を扶養している方が、その親族の情報を(C)に記入して勤務先に提出すると、扶養している親族の人数に応じて、概算額の所得税が低くなります。
その理由としては「配偶者控除」や「扶養控除」などの所得控除を、計算過程で適用したうえで、概算額の所得税を算出するからです。
また勤務先が概算額の所得税を算出する際は、「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」を使用する場合が多いのです。
この表の中に記載された税額は、金額が低い「甲欄」と、金額が高い「乙欄」に分かれており、
が適用されます。
そのため(C)を未提出というだけで、翌年1月以降の概算額の所得税が高くなってしまうため、独身で扶養する親族がいない方や、共働きで配偶者を扶養していない方なども、提出した方が良いのです。
公的年金から支給される3種類の年金のち、遺族年金(遺族基礎年金、寡婦年金、遺族厚生年金など)や、障害年金(障害基礎年金、障害厚生年金など)は、非課税という取り扱いになります。
一方で老齢年金(65歳から支給される老齢基礎年金と老齢厚生年金、経過措置で60~65歳までの間に支給される特別支給の老齢厚生年金など)に対しては、所得税が課税されます。
ただ所得税が課税されるのは、
の場合です。
この要件を満たす方については、偶数月の15日に老齢年金が支給される時に、ここから所得税が控除(源泉徴収)されます。
また翌年の老齢年金から控除する所得税を算出するため、毎年9月以降になると日本年金機構などから、「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」という書類が送付されます。
例えば親族を扶養している方が、その親族の情報を記入して提出すると、「配偶者控除」や「扶養控除」などの所得控除を、計算過程で適用したうえで、老齢年金から控除される所得税が算出されます。
そのため「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出しなかった場合より、老齢年金から控除される所得税が低くなるのです。
逆に言えば提出を忘れると、所得税が高くなってしまうため、忘れずに提出したいところです。
しかし、(C)の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出する予定がある方は、
「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の提出を控えた方が良い
のです。
その理由としては両方の書類を提出した場合、給与だけでなく老齢年金に対しても、「配偶者控除」や「扶養控除」などの所得控除が適用されるため、重複適用になってしまうからです。
また重複適用によって課税される所得税が、本来よりも低くなった場合には、その分を追加で納税する必要があります。
こういった点は年金を受給している会社員の方が、年末調整の前に注意すべき点だと思います。
2011年分の所得税から、「年金所得者に係る確定申告不要制度」を利用できるため、次のような2つの要件を満たしている年金受給者は、自分で確定申告をしなくても良いのです。
(1)年間の公的年金等の合計(課税対象になる老齢年金などの合計であり、遺族年金や障害年金は含まない)が400万円以下で、かつ、その公的年金等のすべてが、源泉徴収の対象になっている
(2)公的年金等に係る雑所得以外の所得(例えば生命保険の満期保険金の受け取りによる「一時所得」、勤務先から受け取った「給与所得」など)の合計が、年間で20万円以下になっている
会社員として働いているため、給与所得がある年金受給者については、(2)の要件を満たせるかに注目した方が良いのです。
この給与所得を算出する際は、年間に支給された給与の合計から、会社員の必要経費にあたる給与所得控除額を差し引きます。
また給与所得控除額の最低額は55万円になるため、年間に支給された給与の合計が75万円以下であれば、「75万円-55万円=20万円」により、年間の給与所得は20万円以下になります。
このように(2)の要件を満たせる年間の給与の合計は、75万円以下が目安になるため、年金を受給している会社員の多くは、確定申告が必要になるのです。
また確定申告の際には、年末調整の後に発行される「給与所得の源泉徴収票」の情報を参照するため、これを捨てないで保管しておくというのが、年末調整の後に注意すべき点です。
なお所得控除の重複適用によって、課税される所得税が低くなった場合は上記のように、その分を追加で納税する必要があります。
確定申告の際には給与と老齢年金を合計したうえで、課税される所得税を再計算するため、実際にいくら納税するのかがわかります。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)
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