老後の年金は原則として、65歳以後は亡くなるまでもらえますが、障害年金は障害の状態によっては一度もらえることが決定したとしても、その後も必ずもらい続けられるとは限りません。

これは更新をする必要があるためですが、今回は障害年金の重要な部分である「更新」について解説します。

【ねんきん定期便を確認!】「年金未納で約2,100万円の差し押さえ」を、他人事と思ってはいけない

更新の流れ

障害年金をもらうようになると、引き続き障害年金をもらえる対象者か否かを確認するため、「障害状態確認届」という書類が送られてきます。

障害の種類や症状により1~5年の間に更新時期がきますが、日本年金機構より誕生月の3か月前の月末に書類が送られてきます。

受け取ったあとは、診断書の欄については、医師に記載してもらい、提出期限(誕生月の末日)までに到着するようにスケジュールを組む必要があります。

もし、提出するのを忘れていた場合や、記載内容に明らかな不備があると、年金の支払いが一時的に止まってしまうことがありますので、注意しましょう。

更新の基準

心身の状況、日常生活への影響度を総合的に勘案して審査がされます。

日常生活への影響度は実際に困っている内容を可能な限り詳しく書かなければ、審査する側に伝わらないことがありますので、その前段階として、診断書を記載する医師に伝わるようにポイントを整理しておくことが重要です。

また、常日頃、生活を共にする家族でもない限り、現在の状況が医師に誤って伝わってしまう可能性も否定できませんので、出来上がった診断書の内容を確認し、万が一誤って伝わってしまったと言わざるを得ない部分は必要に応じて医師に相談し、(もちろん事実に基づいた内容であることが大前提で)加筆または修正を依頼するのがよいでしょう。

診断書の作成が提出期限に密接した日となれば、十分な確認もできないことが予想されます。

特に精神疾患の場合はその日の一時的な状態ではなく、前回と比較して、どのような状態かが重要です。

よって、伝える内容を整理し、診断書をもらったあとに確認する時間も考慮すべきですので、スケジュールには余裕をもっておきましょう

提出後の流れ

時期にもよりますが、概ね3か月後に結果が送られてきます

障害等級に変化がない場合は次回のお知らせが郵送されてきます。

もし、障害等級が変わる場合は支払額変更通知書が郵送されてきます。

審査の結果、等級が上がった場合は変更後の年金額が記載された支給額変更通知書が送付されますが、実際に年金額が変更されるのは更新月の翌月支給分からです。

なお、既に変更前の年金額で支払いが済んでいる場合は次回支払時に変更分を加算し、支払いが行われます。

また、等級が下がった場合も支給額変更通知書が送付されます

等級が上がった場合と同様に更新月の翌月分から変更後の等級に基づき年金が支払われますが、既に変更前の金額で年金が支払われている場合は次回の年金支払い時に減額調整されます。

更新がないパターンとは

永久認定といい、例えば手足の切断など時間が経ったとしても状況に変化がないことが明らかな場合は更新の手続きは必要ありません。

それ以外のパターンは有期認定という考え方となり、1~5年の間に更新を行うこととなります。

医師に現在の状態を正確に伝えることが極めて重要

審査は書面のみで行われますので、医療機関受診時などのようにリアルに状況を伝える機会はありません。

もちろん症状が軽くなり、日常生活に影響がなくなることは大変喜ばしいことですが、状態はむしろ悪化しているにも関わらず、十分に状態を伝えきれていないために、障害年金の支給が止まってしまう(または減額)ことは避けたいところです。

よって、障害年金の更新は、医師に現在の状態を正確に伝えることが極めて重要です。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)

【年末調整】年金受給しながら働いている会社員が前後で注意すべき点2つ

年金を受給する前に亡くなってしまった場合、遺族が受給できる年金について

国民年金保険料納付40年から45年の背景 年金額が下がり続けることはあり得る

情報提供元: マネーの達人
記事名:「 障害年金の「更新」について