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株価の下落が続いているのに、年金積立金の運用損が話題にならない理由
例えば1970年代にも約10年間にも及ぶ株価低迷の時代があり、上値を超えることができずボックス圏での相場変動が続いた時代がありました。
この間は一括投資はもちろん、積立投資でも大きなリターンを得ることは難しかったと想像できます。
また、2000年代初頭からのITバブル、続くリーマンショックが起きた際にもトータル約10年間も株価低迷の時代がありました。
この50年間だけでも、2度も長期低迷を経験していることになります。
超長期で見ると右肩上がりであることに間違いはありませんが、20年から30年おきに約10年ほど株価が低迷する時期があることもまた事実です。
つまりは今回の株価低迷が今後約10年にわたって続いたとしても、何ら不思議ではないということになります。
先日発表された9月の米国CPI(消費者物価指数)においても市場予想を上回る結果となり、まだまだインフレが収まらない状況となっています。
特に食品、エネルギーを除いたコアCPIについては8月よりも上昇する結果となり、FRBのさらなる金融引締策(利上げ)が濃厚となっています。
「景気後退を招いたとしても、インフレを抑え込む方が優先」
とするのがFRBの姿勢です。
インフレに落ち着きが見えるまで、利下げに転じることはなさそうです。
つまりインフレが続く限り金利は下がらず、株価にとって逆風が続くということです。
2010年以降の米国株式の大幅な上昇については、低金利が株価を押し上げたといっても過言ではありません。
これまでは金利が低かったから、株価が上昇しやすかったのです。
ですが利上げが続くこれからの高金利時代については上値が抑えられる展開となり、株価が低迷することが予想されるということになります。
インフレが株価低迷の大きな原因となっていることから、今後のFRBの政策次第では現在の低迷が長期的に続いてしまう可能性があるということを見てきました。
もちろん大幅な下落の後には、その下落を取り戻すかのような上昇もあるでしょう。
ですが、
「2010年代のように、何度も高値を更新するような力強い上昇はしばらくないかもしれない」
と考えておく必要がありそうです。
インフレが鈍化する前に本格的な景気後退に入ってしまった場合は、さらに長期的な株価低迷を覚悟することになるでしょう。
直近の暴落であるコロナショックについては、数か月で回復しました。
ここ数年以内に投資を始めた方にとっては「暴落してもすぐに回復する!」といった安易な考えがあるかもしれません。
ですが、今回の低迷は長期化する可能性があります。
株価が軟調な時期はうまくリターンが出せず、気持ちがあせることもあるでしょう。
投資は長期的視点、かつ余剰資金で行うものであることを再度認識しておく必要があります。
ですが低迷期こそ仕込み時、千載一遇のビッグチャンスです。
より多くの口数を買うことができるので、その後の上昇局面において大きな利益を得ることができます。
これまでの米国株式の歴史を見ると、超長期では右肩上がりです。
都度訪れる低迷は次の上昇のための準備期間、長い歴史から見ると誤差でしかありません。
20年、30年といった投資期間を想定している投資家にとっては、絶好の買い場となる可能性が高いと考えます。
本格的な低迷期に入ると、米国株式もしくは投資自体に対するネガティブな意見が多くなるかもしれません。
ですがそんな時でも積立を継続することができた人だけが、大きなリターンを得られるのです。
ノイズにだまされることなく、冷静な判断で投資を継続されることをおすすめします。(執筆者:FP技能士2級、証券外務員1種 冨岡 光)
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