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健康保険の被扶養者の要件を満たしている、20歳以上60歳未満の配偶者(内縁関係も含む)は、所定の届出によって、国民年金の第3号被保険者になれます。
この第3号被保険者になれば、国民年金の保険料(2022年度は月額1万6,590円)を納付する必要はありません。
そのうえ納付したものとして取り扱われるため、健康保険の被扶養者と同じように、お得な制度だと思います。
また健康保険の被扶養者になったり、国民年金の第3号被保険者になったりすることを、「社会保険の扶養に入る」と表現する方がおります。
パートやアルバイトなどで働く方は、労働時間や日数が増えることによって、社会保険(健康保険、厚生年金保険)の加入要件を満たしたり、年収が130万円(180万円)以上になったりする場合があります。
そうなると社会保険の扶養から外れてしまうため、自分で保険料を納付する必要があるのです。
ただ労働時間や日数が変わらなくても、次のような3つの要因によって、社会保険の扶養から外れるケースがあるのです。
国は最低賃金法に基づいて賃金の最低限度、いわゆる最低賃金を定めるため、雇用主は原則として従業員に対し、その最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。
この最低賃金は2種類あり、そのひとつは都道府県ごとに1つずつ定められている、地域別最低賃金になります。
もうひとつは特定の産業に従事している労働者を対象にした、特定(産業別)最低賃金になります。
2022年度も例年のように10月1日から、全国の都道府県において順次に、最低賃金が見直しされる予定です。
ここ最近の物価上昇などの影響により、地域別最低賃金の全国加重平均額は、前年度比で+31円の961円(時給)になったため、過去最大の引き上げ幅でした。
このような最低賃金の引き上げにより、労働時間や日数が変わらなくても、社会保険の扶養から外れる場合があるため、ぎりぎりで年収130万円(180万円)未満という要件を満たす方は、特に注意する必要があるのです。
パートやアルバイトなどで働く方は、次のような5つの要件をすべて満たした時に、社会保険(健康保険、厚生年金保険)に加入します。
(1)賃金の月額(賞与、通勤手当、残業手当などは除く)が、8万8,000円以上である
(2)1週間の所定労働時間(あらかじめ働くことが決まっている契約上の労働時間になるため、残業時間などは含まない)が、20時間以上である
(3)学生ではない(通信、夜間、定時制の学生や、休学中の学生は加入対象)
(4)1年以上に渡って雇用される見込みがある
(5)従業員数が501人以上の会社(社会保険への加入に対して労使の合意がなされている、従業員数が500人以下の会社も含める)で働いている
こういった社会保険の加入要件の(4)と(5)が、2022年10月1日から次のように改正されます。
(4)2か月超に渡って雇用される見込みがある
(5)従業員数が101人以上の会社で働いている
また2年後の2024年10月1日からは、(5)が次のように改正される予定です。
(5)従業員数が51人以上の会社で働いている
これらの改正に当てはまる方は、労働時間や日数が変わらなくても、勤務先の社会保険に加入するため、社会保険の扶養から外れてしまうのです。
また最低賃金の引き上げにより、(1)の「賃金の月額が8万8,000円以上である」という要件を満たして、社会保険の扶養から外れる場合もあると思います。
上記のような5つの要件を満たした場合、パートやアルバイトなどで働く方は、社会保険(健康保険、厚生年金保険)に加入しなければなりません。
これに加えて「1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、同じ事業所において、同じ業務に従事する正社員の4分の3以上」という要件を満たした時にも、社会保険に加入しなければなりません。
後者の4分の3基準は、正社員の労働時間や日数を基準にして、社会保険に加入するか否かを判断するのです。
そのため正社員の労働時間や日数が短縮されると、パートやアルバイトとして働く方の労働時間や日数が変わらなくても、勤務先の社会保険に加入し、社会保険の扶養から外れる場合があるのです。
ここ最近は週休3日制などの、正社員の労働時間や日数を短縮させる制度が、注目を集めております。
実際に勤務先で導入された場合には、同じ業務に従事するパートやアルバイトなどの社会保険の加入に、影響を与えるかもしれません。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)
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