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所得税は、所得金額から所得控除を差し引いた額(課税所得金額)に対して税率を乗じ、所得税額を算出します。
収入がない人は所得金額がゼロなので所得税は課されませんし、配偶者控除や扶養控除などの所得控除が所得金額よりも大きい場合、課税所得金額はゼロとなるので節税対策を講じる必要はありません。
もともとの納税額がゼロであれば、所得控除や税額控除を適用しても所得税は還付されませんので、節税する際はご自身の所得金額や源泉徴収税額を事前に確認してください。
所得税を節税する手段は、
の2つあります。
所得税の控除には「所得控除」と「税額控除」の2種類あり、
・ 所得控除は所得金額から差し引く控除、
・ 税額控除は算出した所得税額から差し引く控除です。
所得控除に該当する配偶者控除や扶養控除などは控除額が大きいですが、節税効果は所得税の税率を乗じた後の金額で判断しなければなりません。
たとえば所得控除を10万円増やしたとしても、所得税の税率が5%であれば、節税効果は5,000円です。
それに対し税額控除は、所得税額から直接税額を差し引く控除ですので、控除額が1万円であれば、そのまま1万円の節税効果を得られます。
なお税額控除が所得税額よりも大きい場合には、所得税額が控除できる上限となります。
配偶者控除や扶養控除は、条件を満たせば支出ゼロで控除を適用できますし、住宅ローンを組んで自宅を購入した人は住宅ローン控除を適用することで、所得税の還付を受けられる可能性があります。
生命保険控除や医療費控除などは、納税者の支出した額に応じて控除額が大きくなる控除ですが、控除額を増やすために支出を増やすのは本末転倒です。
所得控除を増やして1万円の還付金を受け取ったとしても、1万円以上の支出が伴っていれば、手元のお金は減っているので逆効果です。
また所得控除や税額控除を適用するためには、確定申告手続きが必要になるものもありますが、還付金額が少額であれば手続きするのはコスパが悪いです。
したがって、還付される税金が発生する場合でも、金額によってはあえて手続きしないのも選択肢です。
所得税の節税効果は、所得金額や控除額の大小で変わりますし、控除額の上限が設定されている控除も存在します。
生命保険料控除は、10万円または12万円が控除額の上限ですので、すでに限度額に達している方は、これ以上生命保険に加入しても所得税の節税効果は得られません。
一方で、適用要件を満たしているのにもかかわらず、所得控除等を適用していないケースもあります。
支出を増やすことなく適用できる控除は積極的に活用すべきなので、ご自宅にある給与所得の源泉徴収票をご覧いただき、控除漏れがないかいま一度チェックしてください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)