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マイナンバーカードの隠れたメリット 年金と雇用保険に便利な活用法を解説
例えば旅行中など健康保険証を持っていない時に、急な病気やケガで診療を受けた場合、いったんは診療費の全額を、自分で支払う必要があります。
ただ後日に所定の手続きをすると、保険診療を受けた場合を基準にして計算した額から、一部負担金相当(2~3割)を差し引いた額が、療養費として還付されます。
この療養費のような健康保険の保険給付を請求する際は、自分が加入している協会けんぽや組合健保に対して、請求する必要があります。
また療養費を請求する際は、所定の申請書を入手したうえで、正しく記入する必要があるのです。
こういったタイミングが来た時には、まずは健康保険証を準備するのが良いと思います。
その理由として健康保険証の表面を見てみると、自分が加入している協会けんぽの支部や、健康保険組合の名称が記載されているため、どこに請求すれば良いのかが、すぐにわかるからです。
具体的な請求先がわかったら、そのウェブサイトに対して、パソコンやスマホなどでアクセスしてみます。
そうすると請求に必要な申請書をダウンロードできたり、申請書の記入方法がわかったりする場合が多いのです。
申請書を記入する時に戸惑う可能性があるのは、被保険者証の記号・番号の欄ではないかと思いますが、これについても健康保険証の表面に記載があります。
一方で健康保険証としての登録を済ませたマイナンバーカード、いわゆるマイナ保険証の表面には、こういった情報が記載されていないため、マイナ保険証の弱点のひとつだと思います。
健康保険の資格喪失日(基本的には退職日の翌日)の前日までに、継続して2か月以上健康保険に加入していた方は、資格喪失日から20日以内に所定の手続きをすると、任意継続被保険者になることができます。
この任意継続被保険者になった方は、再就職して健康保険に新たに加入するなどの資格喪失事由がなければ、退職する前に加入していた健康保険を、最長で2年に渡って使用できます。
ただ退職する前は勤務先の企業などが、健康保険の保険料の半分を負担していたため、退職した後は全額を自己負担します。
これにより任意継続被保険者になった後の保険料は、退職する前の約2倍(一定の上限がある)になるのです。
それでも退職する前の収入によっては、国民健康保険よりも保険料が安くなる場合があります。
また退職する前に加入していたのが組合健保だと、付加給付という法定給付の上乗せを受給できる場合があるため、任意継続被保険者は退職した後に加入する公的医療保険の、選択肢のひとつになっているのです。
任意継続被保険者になるためには、所定の申出書を記入したうえで、協会けんぽや組合健保に提出するのですが、この申出書の中にも被保険者証の記号・番号を記入する欄があります。
そのため任意継続被保険者になることを検討しているのなら、勤務先の企業などに対して健康保険証を返却する前に、そのコピーを取っておいた方が良いのです。
コピーを忘れてマイナ保険証しかない場合、任意継続被保険者の申出書を記入する時に戸惑う可能性があるため、マイナ保険証に被保険者証の記号・番号の記載がないのは、やはり弱点のひとつだと思います。
当面は健康保険証とマイナ保険証が併存していくため、これまでに紹介したマイナ保険証の弱点で困ってしまうケースは、まだ少ないのではないかと思います。
ただ新聞などの報道によると、政府は将来的に健康保険証を原則廃止し、マイナ保険証に一本化する方針のようです。
そのためマイナ保険証の弱点で困ってしまうケースは、今後は増えていく可能性があります。
こういった時に役に立つのは、マイナンバーカードを使ってログインする、マイナポータルではないかと思うのです。
その理由としてはログインした後に、「最新の健康保険証情報の確認」を選択すると、現在加入している健康保険の保険者名(健康保険組合などの名称)や、被保険者証の記号・番号などがわかるからです。
なお協会けんぽについては、マイナンバーを記入したうえで、所定の書類を添付すると、被保険者証の記号・番号の記入を省略できるようです。
マイナポータルにログインした時に、最新の健康保険証情報を確認できなかった協会けんぽの加入者などは、こちらを利用してみるのが良いと思います。(執筆者:社会保険労務士 木村 公司)
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