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住宅ローンの長期物金利が上昇中 短期物金利で返済中なら、検討する4つの選択肢
今までリースバックと言えば、企業が所有する車や機械をリース会社に売却した後で、リース会社からリースを受ける「セールス&リースバック」のことを指しました。
企業から見ると、資産を売却して資金調達できるのと、リース代が経費計上できるので、経営戦略で有効活用する企業があります。
この記事で扱う自宅のリースバックも仕組みは同じです。
「自宅(ハウス)を売却して、そのあと賃貸(リースバック)」するので「ハウスリースバック」とも呼ばれています(記事ではリースバックで統一)。
住宅のリースバックとは、住宅を売却して現金を得て、売却後は毎月賃料を支払うことで、住んでいた住宅に引き続き住むサービス。
≪画像元:国土交通省(pdf)≫
「住宅ローンの返済が苦しい」などの理由から自宅を売却(任意売却)するとしたら、売却もリースバックも理由は同じです。
違うのは、売却からあとの流れです。
任意売却は一般的な売買なので、売却すれば、所有権が移転されて完結です。
いっぽうリースバックでは、売却して所有権を移転したあと、買い取った相手(リース会社)と賃貸契約を結び、自宅(正確には元・自宅)に住み続けるといった流れです。
リースバックと並んで説明されることが多いのがリバースモーゲージです。
リバースモーゲージ:自宅を担保にお金を借り、借りた人が死亡した場合などに原則として自宅を売却し、ローンを返済
するという内容です
まとまったお金を受け取るのは同じですが、リースバックは現金、リバースモーゲージは魏融資を受けたお金という点で違います。
リースバックのメリットとデメリットを紹介します。
これが1番のメリットです。
リースバックもまず売却なので、まとまったお金を受け取ることができます。
もちろん住宅ローンがある場合は、ローン残高より高く売れることが大前提です。
住宅ローンより売却価格が高い(これをアンダーローンといいます)なら問題はありません。
しかし住宅ローンより価格が低いと(オーバーローン)、リースバックができなくなる可能性があります。
理由は、売却してもローンが残ってしまう場合には、銀行などの金融機関は同意してくれないからです。
リースバックは、自宅を売ったあとも引き続き同じ家に住み続けることができます。
「リースバック会社は、自宅を買い取ってくれて、しかもそのまま貸してくれる会社」とも表現できます。
リースバックでは、一度は売却した自宅を買い戻すこともできます。
これはあくまで何もかもが上手くいった理想的な仮定の話しです。
リースバックを利用した理由が、収入減少や失業などの困りごとだったなら、そのあとに全てが好転するとは限らないからです。
「いつかは自宅を買い戻すことができるかも知れない」可能性だけは残っているので、家賃を払うことに張り合いが感じられる人もいるでしょう。
リースバックを利用したくても、地域や物件によっては利用できない場合もあります。
一般に不動産は地方より都会、不便な場所より駅近など利便性の高いほうが価格が高くなります。
これはリースバックでも同じで、地方ではリースバックが利用できないこともあるのです。
また建物が古すぎる、あるいは土地や建物に何かしらの問題があるケースでも、断られてしまう可能性があります。
住み続けられるとはいっても「元自宅」であり、しかも今は人手に渡り、家賃を払って住んでいるわけです。
この事実はどうしようもありませんが、住み続けていくことでこうした現実と常に向き合っていかなければいけません。
本人や、場合によっては家族の精神的な苦痛になることもあります。
リースバックを利用したとしても、自分から告白しない限り、他人がそれを知ることはまずないでしょう。
しかし、人には言えないでいることが苦痛を生むかもしれません。
リースバックを利用した場合、今度は、元自宅に家賃を払っていくことになります。
家賃を滞納して、それが何か月も重なれば、最悪の場合退去を迫られることもあります。
「家賃を〇か月以上滞納したら退去」など契約の条件はしっかり確認しておく必要があります。
賃貸住宅で家賃を滞納すれば最後には出ていかなければならない、これはリースバックに限ったことではないので、決してリースバックが悪いという意味ではありません。
大事なのは、リースバックを利用する際にはしっかりと契約内容を確認するという点です。
特に、リースバックは社会に認知されつつあるとはいえ、まだ歴史は浅く、また業者もさまざまなので、自分の目で業者を選ぶことが必要になってきます。
また、賃貸契約が何年継続できるか?も必ず確認しておく必要があります。
仮に「数年や10年以内で契約が終了し更新はできない」となれば、そのあと元自宅に住み続けることはできません。
契約は更新可能だとしても、家賃を払い続けた結果、リースバック利用前の住宅ローン残高より多く払うことになると、何のために売却したのかわからないということにもなりかねません。
感じ方、受け取り方の問題なので一概にデメリットをも言えません。
≪画像元:国土交通省(pdf)≫
私は銀行員としてリースバックを強く推す必要も、否定するものでもありません。
メリット、デメリットを知ればリースバックを有効活用できる人もいると考えています。
住宅ローンを返済中の人も、住宅購入を検討している人も参考にしてください。(執筆者:銀行員一筋30年 加藤 隆二)
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