- 週間ランキング
歴史的な円安が起きている理由は様々ですが、主な要因の一つに日米の金利差が挙げられます。
米国はコロナ禍において大胆な金融緩和策を実施しました。
これが功を奏してかコロナ禍を乗り切り、経済の停滞は限定的なもので済みましたが、次に米国を襲ったのが急激なインフレ(物価上昇)です。
市場にお金が出回ることによる経済の過熱と、未だ残るコロナの影響による物流の停滞など、様々な要因が絡み合い急激な物価の上昇が引き起こされました。
賃金上昇や企業利益の向上を伴う緩やかなインフレは経済成長に欠かせないものですが、今回のインフレはかなり急激です。
過度な物価上昇は景気後退を招くことになるので、FRB(米国の中央銀行)も行き過ぎたインフレを抑える施策を取る必要が出てきます。
利上げを行うことによりお金を借りることに抵抗が生まれますので、過熱した経済に落ち着きを取り戻す効果が期待できます。
米国ではFOMC(米国の金融政策決定会合)のたびに利上げを行い、インフレの沈静化に努めています。
対して日本では金利を一定値以上には上げない「指値オペ」という施策が行われています。
米国と違って日本は長らく低成長が続いております。
米国同様に金利を引き上げるとプラスの効果よりもマイナスの効果の方が大きいと判断されていますので、金利が0.25%を超えることが無いよう、日銀が国債を買い入れています。
つまり日本は金利が上がらず、米国は金利が上がり続けており、今後もそれが続くと見られています。
一般的に投資マネーは金利の低い通貨から金利の高い通貨へ流れます。
より大きな利息が付く方に投資したいと考えることはごく自然なことです。
金利の低い円を売って、金利の高いドルを買う流れが強くなっていますので、売られれる円の価値は低くなり(円安)、買われるドルの価値が上がっている(ドル高)のが今の状況です。
この円安ドル高は米国の利上げが終わらない限り続くというのが大方の見方ですが、言い換えると米国の利上げが落ち着きを見せれば、円高ドル安に動く可能性があるということになります。
FRBが利上げを急いでいる理由はインフレの沈静化にあります。
インフレが無事落ち着きを見せると利上げを急ぐ必要がなくなりますから、そのペースは鈍化することになるでしょう。
そうなると今のような円安もひと段落し、円高の方向に動くことになる可能性が高くなります。
この場合は株価も落ち着きを見せ、上昇に転じるかもしれません。
為替による利益は小さくなりますが、株価は上昇するので大きな問題はないでしょう。
急激な物価上昇は経済活動の停滞を招き、リセッションの原因となってしまいます。
FRBはリセッションを避けるべく利上げをおこなっておりますが、それも虚しく、近々、もしくは既に米国はリセッション入りしてしまっているという説が濃厚になってきています。
リセッションになってしまうと金利を上げ続けることによってさらに経済活動は停滞、悪化してしまいます。
これまでと同じ早いペースで利上げを行うことは難しくなるでしょう。
利上げのペースを落とす、もしくは逆に利下げを行うことによって経済を回復させる必要が出てきます。
そうすると日米の金利差は縮まります。
金利差が縮まれば円高に動くのがセオリーです。
リセッションによる経済停滞、景気悪化で株価も下落し、為替も円高ドル安に動くことによって株価と為替のダブルパンチを被ってしまう可能性も否定できません。
あくまでも現時点では可能性の話ですが、さらなる米国株の下落と円高の可能性も視野に入れておく必要があるでしょう。
更なる下落が予想される米国株式への投資は控えた方が良いのでしょうか。
保有している資産は売却し、円高になってから投資を再開する方が得策なのでしょうか。
答えは「否」です。
現在の株価や為替は長い投資期間から見れば一つの通過点に過ぎません。
米国株は多くの暴落を経験し、例外なくその暴落から回復、高値を更新し続けています。
もちろんこれからもそうなると断言することはできませんが、そうなる可能性は高いといえるでしょう。
ただひたすらに積立を継続することが長期的な利益の源泉になるということは過去の歴史が教えてくれています。
高値、安値や円安、円高といったことに踊らされることなく、淡々と続けることが将来の利益につながるはずです。