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人生で1度も税務調査を受けたことがない事業者の方もいれば、脱税していないのに、何度も税務調査を受けた経験のある事業者の方もいらっしゃいます。
税務調査の対象者になるかは、脱税の有無だけでなく、実は住んでいる(事務所が所在する)地域も影響してきます。
税務署は全国に524署あり、各税務署には管轄するエリアが決まっています。
税務署職員は自身が所属している税務署管内の納税者しか調査することはできず、税務署の規模は大小さまざまです。
事業規模の大きい個人(法人)や、悪質な脱税を行っている個人(法人)については、国税局(沖縄国税事務所)が調査することが多いですが、国税局は国税局管内の個人(法人)をすべて調査することが可能です。
たとえば東京国税局の場合、東京都・千葉県・神奈川県・山梨県を管轄していますので、都県にお住まいの方は、東京国税局のマルサ(査察部)やリョウチョウ(資料調査課)から調査を受ける可能性があります。
税務署が扱っている税金の種類は多く、税目ごとに担当部署が割り当てられています。
法人税は法人課税部門が担当し、所得税や個人事業主が納めている消費税については個人課税部門が担当部署です。
相続税・贈与税・不動産の売却にかかる税金(譲渡所得税)は、資産課税部門が担当しており、税金滞納者の対応は税目問わず徴収部門が行っています。
一方、個人事業主や法人の数は管轄税務署によって異なりますので、同規模の税務署であったとしても部署ごとの人数は違います。
東京の都心部には法人が多く存在するため、法人課税部門の職員が多く配置されていますが、住んでいる人が少ない税務署については、個人課税部門や資産課税部門の規模が小さいです。
調査担当職員が多ければ年間で実施される調査件数も多くなりますが、提出されている申告件数も莫大なので、申告件数に対しての割合で考えると、実は規模が大きい税務署に申告している人(法人)の方が調査を受ける確率は低いこともあります。
法人税や所得税は課税所得が多いほど税率が高くなりますし、脱税による影響が大きいため、税務署は売上が大きい事業者に対して税務調査を実施するケースが多いです。
ただ売上の大小は管内の事業者の中での話であり、地域で1番売上の大きい事業者の金額は違います。
年商5億円は東京都の都心部であれば、事業規模の大きい会社とはいえませんが、地方にある税務署であれば、年商5億円の会社は売上上位に入るかもしれません。
その税務署の中で売上の多い事業者に該当してしまうと、税務調査の対象となりやすいため、同じ売上の事業であっても、所在地によって税務調査を受ける確率が違います。
税務調査が入る確率は地域差がありますが、税務署が扱う税金は国税ですので、税務調査対策は全国共通です。
脱税をすれば、住んでいる場所を問わず税務調査を受ける確率は高くなりますし、安易な税金逃れほどリスクが高いものはありませんので、節税は合法的な手段を用いて行ってください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)