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加給年金は原則として、
・ 厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある夫が65歳到達時点に
・ 生計を維持している65歳未満の妻または一定年齢以下の子供がいる場合
に夫の年金に加算されます。
しかし、夫と同等程度厚生年金に加入(20年以上)している妻の場合、妻が在職老齢年金に該当している場合等のケースで、妻に一部でも年金が支給されている場合は夫への加算は停止されていましたが、高報酬ゆえに妻の年金が「全額停止」されている場合は、夫への加算があるといった「不合理」が問題となっていました。
そこで、2022年4月以降、妻が老齢厚生年金を実際に受け取っていなくても、受ける権利を持っている場合(例えば在職老齢年金によって支給停止となっているケース)、加給年金額は全額支給停止されることになりました。
しかし、既得権保護の観点から、以下の(1)および(2)の要件を満たす場合、2022年4月以降も引き続き加給年金の支給を継続する「経過措置」が設けられています。
(1) 2022年3月時点で、本人の老齢厚生年金または障害厚生年金に加給年金がついている
(2) 2022年3月時点で、加給年金額の対象者である配偶者が、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある老齢厚生年金等の受給権を有しており、全額が支給停止されている
なお、「経過措置」は配偶者の65歳到達、死亡、離婚等の理由により加給年金が不該当となった場合、次の(1)、(2)、(3)にあてはまった場合に終了します。
(1) 本人の老齢厚生年金または障害厚生年金が「全額支給停止」されることとなったとき
(2) 配偶者が失業給付受給終了により老齢厚生年金の「全額支給停止」が解除されたとき(失業給付の受給により、配偶者の2022年3月分の老齢厚生年金が「全額支給停止」されていた場合に限る)
(3) 配偶者が、年金選択により他の年金の支給を受けることとなったとき
注意点として、(2)または(3)に該当する場合は、経過措置終了の届出が必要となりますので、あわせておさえておきましょう。
年金制度は数年に1度大きな改正が行われることがあります。
加給年金については金額も大きく、影響度も無視できません。
働きながら年金をもらうこともめずらしくなくなった現代ではありますが、特に「老齢」の年金はいずれ誰もが通る道となりますので、法改正された後の知識は、最低限おさえておきましょう。(執筆者:社会保険労務士 蓑田 真吾)
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