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2022年度から始まる「年金の新制度」は、組み合わせて利用した方が良い
一口に年金額と言っても、その内訳は人それぞれです。
まず、65歳からもらう年金額は老齢基礎年金と老齢厚生年金の合計額ですが、老齢基礎年金には付加年金が受給出来る方や振替加算額が加算される方がいらっしゃいます。
次に老齢厚生年金ですが、こちらも報酬比例部分以外に経過的加算額や加給年金が受給できる方などさまざまです。
仮に、65歳からの年金額が150万円として、75歳までの年金繰下げによって最高1.84倍の276万円になるかというと、ほとんどそうはならないでしょう。
なぜなら、年金額のすべてが繰下げによる増額対象ではない(繰り下げても増えない)からです。
上述の振替加算額や加給年金は増額対象ではありません。
また、繰下げ待機期間(年金を受け取っていない期間)中は、受け取ることもできません。
単純にその分が減ったということです。
ですので、繰下げをご検討の際は、どれが増額(減額)対象で、どれ位増額出来るのかを必ずチェックしましょう。
65歳以降も働いて厚生年金に加入する場合、報酬(給料や賞与など)によっては在職老齢年金制度による年金カット分が発生する場合があります。
その内容は、総報酬月額相当額(給与、直近1年の賞与の12分の1)と基本月額(報酬比例部分の月額)の合計が47万円を超える場合に、超えた分の1/2×12か月分が年金額からカットされるというものです。
繰下げをする場合、実際には年金を受給していないのですが、65歳から受給を開始したものと仮定して、在職老齢年金制度によるカット分を算出し、残りのカットされない部分のみが繰下げによる増額対象となるのです。
つまり、65歳からの報酬が高いために厚生年金の報酬比例部分が全額カットされた場合は、その部分についての繰下げによる増額は全くないということです。
65歳以降も働いて厚生年金に加入した場合、最高70歳まで加入できます。
65歳以降に支払った保険料分も退職時改定や在職定時改定などでもちろん年金額には反映されます。
しかしながら、保険料負担による増額分は反映されても、その分に対して繰下げによる増額対象とはならないので注意しましょう。
以上、勘違いしやすい点を挙げさせて頂きました。
こういったカラクリをみてみますと、繰下げによる年金額増額が1か月繰下げる毎に0.7%増えて、5年繰下げで1.42倍、10年繰下げで1.84倍になると言われても、思っている年金額に到達するかは怪しいとも受け取れてしまいます。
ですので単純なものではないことを理解したうえで必ず、社会保険事務所などで試算してもらって判断するようにしてください。(執筆者:CFP認定者、1級FP技能士 小木曽 浩司)
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