日本の公的年金の中に、会社員や公務員などの被用者のための年金である厚生年金があります。

厚生年金の被保険者は、厚生年金の適用事業所に勤務する70歳未満の方です。

その厚生年金の給付の1つに、老齢のための年金である老齢厚生年金があります。

老齢厚生年金は受給資格を満たした方が原則として65歳から受給できますが、被保険者期間が同じ期間であっても、受給額は人それぞれ変わってきます。

なぜなら、老齢厚生年金の受給額は、年収が高いほど増える仕組みになっているからです。

今回は、老齢厚生年金が基本的に年収が高いほど受給額が増える仕組みについて、分かりやすく解説していきます。

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老齢厚生年金の受給要件

老齢厚生年金を受給するためには、老齢厚生年金の受給要件を満たしている必要があります。

いくら年収が高くて最高額の厚生年金保険料を支払っていたとしても、受給要件を満たさなければ1円も受給することができません

以下の受給要件を満たした場合に、老齢厚生年金は受給することができるのです。

・ 厚生年金の被保険者期間が1か月以上ある方が、老齢基礎年金の受給資格期間(保険料納付済期間や保険料免除期間などを合算した期間が10年以上)を満たした場合。

老齢厚生年金の受給額

老齢厚生年金の受給額は、厚生年金の被保険者の平均標準報酬月額と被保険者期間の月数により変わり、全員一律ではありません。

老齢厚生年金の受給額は、以下のように算出されます。

65歳未満の老齢厚生年金の受給額

報酬比例部分 ( + 定額部分 + 加給年金額)

カッコ内は、受給開始年齢の特例に該当する方が加算されます。

65歳以上の老齢厚生年金の受給額

報酬比例部分 + 経過的加算 + 加給年金額

老齢厚生年金の報酬比例部分は、被保険者の平均標準報酬月額と被保険者期間の月数により算出されます。

平均標準報酬月額とは、厚生年金の被保険者期間の標準報酬月額の合計を被保険者期間の合計月数で割った額です。

そのため、被保険者によって老齢厚生年金の受給額は異なり、被保険者期間の合計月数が同じであれば、被保険者期間の標準報酬月額の合計が高い方ほど老齢厚生年金の受給額が高くなります。

厚生年金保険料の標準報酬月額

老齢厚生年金の受給額の算出の基になる標準報酬月額とは、厚生年金保険料などの社会保険料を計算するために一定の幅で区切られた報酬月額の区分(等級)ごとの金額のことです。

現在の厚生年金の標準報酬月額は、1等級(8万8,000円)から32等級(65万円)までの32等級に分類されています。

厚生年金の保険料は、以下の計算式により算出されます。

毎月の保険料額 = 標準報酬月額 × 保険料率

賞与の保険料額 = 標準賞与額 × 保険料率

老齢厚生年金の受給額の仕組みを理解しよう

このように、老齢厚生年金の受給額は、厚生年金の被保険者の平均標準報酬月額と被保険者期間の月数により決まります。

そのため、平均標準報酬月額が高ければ高いほど、被保険者期間の月数が多ければ多いほど老齢厚生年金の受給額も高くなるのです。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 厚生年金は基本的に「年収が高いほど受給額が増える」 その仕組みを解説