国民年金の老齢に対する給付である老齢基礎年金は、原則として65歳から受給できますが、請求することで60歳から65歳までの間に繰り上げて受給することもできます。

厚生年金の老齢に対する給付である老齢厚生年金は、生年月日により受給開始年齢が変わりますが、請求することで60歳から受給開始年齢までの間に繰り上げて受給もできます。

老齢年金を繰り上げて受給する場合は、請求をした時点に対応して年金が減額して支給されることになり、その減額率は一生変わりません。

いつまで生きるのかわからないので、老齢年金を繰り上げて受給することにより「最終的な総年金受給額が多くなるか少なくなるか」も誰にもわかりません。

老齢年金の繰り上げ受給の減額率ですが、2022年度からの年金制度改正により緩和されます。

即ち、年金制度改正以降に繰り上げ受給する方は、緩和された減額率が対応されるのです。

今回は、2022年度からの年金制度改正による年金繰上げ減額率の緩和について、詳しく解説していきます。

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老齢年金の減額率

老齢基礎年金の繰り上げ受給を請求した方の年金額は、以下の減額率によって計算されます。

減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数

繰り上げ受給の老齢基礎年金額=(老齢基礎年金額)-(老齢基礎年金額×減額率)

老齢厚生年金の繰り上げ受給を請求した方の年金額は、以下の減額率によって計算されます。

減額率=0.5%×繰上げ請求月から受給開始年齢の前月までの月数

繰り上げ支給の老齢厚生年金額=(老齢厚生年金額+経過的加算額)-((老齢厚生年金額+経過的加算額)×減額率)

 

2022年度からの繰り上げ受給減額率の緩和

老齢年金の繰り上げ受給減額率は現在0.5%ですが、平均余命が延びていることや、選択された繰り上げ受給開始時期にかかわらずにできるだけ中立になるように、2022年度からは1月当たり0.4%に緩和されます。

この緩和の対象者は、2022年4月1日以降に60歳になる人です。

即ち、昭和37年4月2日以後生まれの人が対象となります。

例えば、現在では、65歳から老齢年金を150万円受給できる方が60歳で繰り上げ受給した場合の受給額は、以下の計算式により算出されます。

150万円-(150万円×(0.5%×60か月))=105万円

2022年4年4月1日以降は同じ条件の場合、以下の計算式で算出されます。

150万円-(150万円×(0.4%×60か月))=114万円

2022年度からの年金制度改正により、年金繰上げ減額率が0.5%から0.4%に緩和されます。

老齢年金を繰り上げ受給するかどうか考えている場合は、このことも考慮した方がよいでしょう。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 2022年度からの年金制度改正による「年金繰上げ減額率の緩和」について