新型コロナウィルスの影響により、10万円給付金や、「Go Toキャンペーン」に関連した助成金など、国からいろいろな給付金・助成金が支給されています。

国から支給されたお金であれば非課税だと思うかもしれません。

しかし給付金等の種類によっては所得税の課税対象となり、確定申告手続きが必要になるケースもありますのでご注意ください。

節税効果の高い「現金以外」の贈与財産2つ 110万以上でも結果的に無税となるケースも

給付金・助成金の課税・非課税は種類ごとに判断しなければいけない

1年のうちに得た収入は原則所得税の課税対象であり、給付金や助成金については、非課税規定が存在する場合に限り所得税は課されません。

所得税の課税・非課税を判断は、種類ごとに確認しなければならず、給付金や助成金の名目であっても課税対象になることもあります。

「給付金名目なら非課税」、「助成金は課税対象」といった形で区分することはできませんので、受け取った給付金などを個々に判断しなければいけません

国などから支給される主な給付金・助成金の課税関係

国や地方自治体から支給される、主な給付金や助成金の種類と課税・非課税の判定表です。

多くの給付金等は非課税となっている一方で、すまい給付金は「給付金」の名目であっても一時所得の対象となりますのでご注意ください。

一般的な給付金・助成金に対する課税関係

給付金・助成金の種類課税判定
雇用保険の失業等給付非課税
生活保護の保護金品非課税
児童(扶養)手当非課税
子育て世帯臨時特例給付金非課税
企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における割引券非課税
(※)
東京都のベビーシッター利用支援事業における助成非課税
すまい給付金課税
(一時所得)
地域振興券課税
(一時所得)

※令和3年1月1日前に交付を受けるものについては、課税対象となる場合があります。

参照:国税庁(pdf)

新型コロナウィルス関連の給付金・助成金の課税関係

新型コロナウィルスの影響により、臨時の給付金や助成金制度がいくつも登場しました。

国民の生活を守る目的や、経済を活性化させる目的で支給されるお金ですが、こちらも種類によって課税対象・非課税が区分されています。

また課税対象となるのはお金だけでなく、「Go Toキャンペーン」などで使用したクーポン等も含まれます

新型コロナウィルスに関連して支給された主な給付金等への課税関係

給付金・助成金の種類課税判定
新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金非課税
特別定額給付金非課税
子育て世帯への臨時特別給付金非課税
学生支援緊急給付金非課税
低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金非課税
低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金非課税
新型コロナウィルス感染症対応従事者への慰労金非課税
持続化給付金
(事業所得者向け)
課税
(事業所得)
東京都の感染拡大防止協力金課税
(事業所得)
中小法人・個人事業者のための一時支援金・月次支援金課税
(事業所得)
家賃支援給付金課税
(事業所得)
医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業における補助金課税
(事業所得)
持続化給付金

(給与所得者向け)

課税
(一時所得)
Go To トラベル事業の給付金
(旅行代金割引・クーポン)
課税
(一時所得)
Go To イート事業の給付金
(ポイント・食事券)
課税
(一時所得)
Go To イベント事業の給付金
(ポイント・クーポン)
課税
(一時所得)
持続化給付金
(雑所得者向け)
課税
(雑所得)

参照:国税庁(pdf)

課税対象となった給付金・助成金を受け取った場合の対応

「Go Toキャンペーン」など、一時所得に該当する給付金等を受け取った場合、確定申告手続きが必要になるケースがあります。

しかし一時所得には50万円の特別控除額がありますので、給付金等で得た一時所得が50万円以内であれば所得税は課税されませんし、申告手続きも不要です。

50万円を超える一時所得が発生した場合、2分の1が課税所得となりますが、一般的な給与所得者は、給与所得以外の所得が20万円以下なら確定申告は不要です。

【一時所得の計算式】

収入金額-収入を得るための支出額-特別控除額(50万円)=一時所得の金額

一時所得の金額 × 1/2=一時所得の課税所得金額

助成金等が事業所得に該当する場合、事業所得の収入に加算することになりますが、年間の収支が赤字であれば所得税の支払いはありません

また助成金等を必要経費(支払家賃など)の補てんに使用している場合、支出自体が必要経費になります。

給付金等の課税・非課税を確認する方法

給付金等の課税・非課税が一覧としてまとめてある資料としては、国税庁が公表している下記のリンク先(pdf)の資料が比較的わかりやすいです。

自分の受け取った給付金・助成金の課税関係について直接相談したい場合、税務署が窓口となります。

給付金等の種類が違えば課税関係は変わってしまいますので、電話相談される際は確認したい給付金等の資料を手元に置き、相談することをオススメします。

また税務署窓口で相談される際も同様に、確認したい給付金等の書類を持参し質問してください

非課税の給付金等を収入に含めてしまうと余計な税金を支払うことになってしまうので、課税・非課税の判断はお間違えの無いよう気を付けましょう。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)

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情報提供元: マネーの達人
記事名:「 【要注意】国からの給付金・助成金でも所得税の「課税対象」になる種類がある