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節税効果の高い「現金以外」の贈与財産2つ 110万以上でも結果的に無税となるケースも
税制改正大綱とは、税金に関する法律改正事項を大枠でまとめたもので、税制改正大綱をベースに税制改正案が作成されます。
法律改正を望む声は民間団体等から各省庁へ届けられ、各省庁は与党税制調査会へ取りまとめた改正要望事項を提出します。
与党税制調査会は各省庁からの要望事項を踏まえて与党税制改正大綱を作成し、閣議決定された後に、税制改正案を国会で審議するのが一連の流れです。
税制改正案の採決は遅くても3月末までに行われ、法律の改正案が可決されれば改正法に定められた日から施行されます。
令和4年の税制改正で成立した法案でも、施行日が令和5年1月1日からであれば令和4年中は旧法律に基づき対応することになるため、法律が改正された場合はいつから施行されるかも確認すべきポイントです。
税制改正大綱では、大小さまざまな法律改正についての内容が盛り込まれていますが、所得税で特に大きな改正は住宅ローン控除の縮小です。
現在の住宅ローン控除は、年末借入金残高の1%が税額控除できるような制度設計となっていました。
しかし令和4年の税制改正大綱では、通常の住宅ローン控除の控除率は0.7%に縮小し、借入金限度額も令和4・5年は3,000万円、令和6・7年は2,000万円までと上限が低くなります。
たとえば年末ローン残高3,000万円のケースでは、控除率1%なら1年で30万円分の所得税を控除でき、10年間住宅ローン控除を適用できる場合、トータルで300万円分の節税効果があります。
しかし控除率が0.7%なると1年の税額控除は21万円に縮小するため、10年間適用しても節税効果は210万円と、今までよりも90万円分節税効果は薄くなるので、適用する人にとって今回の改正は改悪です。
相続税・贈与税の令和4年の税制改正では住宅ローン控除ほどの変更する事項はありませんが、贈与税の住宅取得資金等の非課税制度は適用期間が2年間延長されます。
贈与税の特例は期間限定の制度が多く、税制改正により特例適用期間が延長されないと制度が終了してしまいます。
住宅取得資金等の非課税制度は廃止する可能性もありましたが、令和5年まで2年間制度が延長されるとともに、年齢要件が20歳から18歳以上に緩和される予定です。
ちなみに年齢要件の引き下げは、2022年4月1日から成人となる年齢が18歳に引き下げられることが関係しているものと考えられます。
税制改正大綱に基づき作成された税制改正案は、国会で可決されて適用されますので、法案が否決されれば法律は現状のままとなります。
与党が過半数を超えた議席を持っていますので、基本的に法案が成立する可能性は高いです。
しかし過去には批判を受けて見送られた法案もありますし、災害等が発生したことで審議ができず、必要な法案だけを成立させたこともありました。
そのため法案が通るまでは、改正される見込みの状態であることをご理解ください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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