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相続税で見落としやすい相続財産4つ 具体的ケースと対処法も紹介
現在63歳の渡辺さんも、自身が亡くなった時の相続税をちょうど気にしだしたところです。
暦年贈与とは、年間110万円までは、贈与税は無税。さらに相続人への贈与の場合でも贈与して3年を超えて相続が発生すれば、贈与分が相続の課税対象から減らせるという制度です。
この3年が週刊誌等のうわさでは改正され10年か15年(筆者は10年と予想しています)に長くなるかもという話です。
今年と来年の贈与までは、「3年縛り」でいいかもしれないため、渡辺さんも、暦年贈与の年間が、1月1日から12月31日であることもあり、とりあえず今年中の贈与について検討する事にしました。
簡単にできるのは、現金、預金ですが、現在、定年退職し、再雇用で働いている渡辺さんは、収入と支出がトントンの状態で、冷蔵庫、車の買い替え、家の修理とう特別費用については、それまでの貯蓄から引き出すことになり、自分が亡くなる、年齢もわからないため、なるべく預金は減らしたくありません。
自身の介護費用が必要になった時、その費用を子供に頼るのも嫌なので閃いたのが、会社員時代から持っていた上場株の贈与です。
飲食の優待目当てで購入しているため売却予定もないので、子供もむやみに株を売却することもないから安心と考えたようでした。
渡辺さんには、長男(兄)、長女(妹)の2人の子がいました。
長女には、飲食の優待券が使える株券をあげることにしました。
半年で1万円ほどのポイントが使用できることもあり、喜ぶと思ったわけです。
長女に確認したところ、「証券会社の口座作らないといけないし、ウーン」といい歯切れが悪いです。せっかく贈与しても、喜んでもらえないのでは、意味がありません。
長男に確認したところ、「自分は現金がいい」と正直なことを言い「妹も自分が株で、兄が現金で贈与してもらったと知れば、不公平感がでるのでは?」といいます。
子二人に株を贈与するにしても将来その株価に開きが出てきます。なかなか難しいものです。
知人のファイナンシャルプランナーより、相続人でない孫とか子の配偶者への贈与には「3年縛り」も(現在は)ないことを聞きましたが、長男には子がいますが、長女はまだ独身です。
これもきょうだい間の不公平感を産みそうです。
取引している証券会社に「あげる人」と「もらう人」2人一緒に行けば、一度で手続き完了です。
証券会社の用意してくれた贈与契約書にそれぞれ署名し、もらう人の口座(なければ口座作成は必要です)へ移管手続きすれば完了です。
贈与にかかる手数料も不要のところが多いです。
贈与する株が、NISA口座の場合は、株をもらった人がそのままNISA口座で引き続き運用することができません。
課税口座(特定口座・一般口座)に移すことになります。そのため、株をもらった人が売却する際の取得価格も、贈与時(NISA口座→一般口座移行)の価格が取得価格となります。
例えば、贈与者が、下がった時点でNISA株を贈与して、たまたま受贈者が取得後その株価が上がって当初の取得価格に戻っても、一般口座で、利益が出たことになり課税されます。
渡辺さんは、熟慮の結果、子供2人には、現金を贈与することにしました。同じ金額を今年限りとして。
本音は、現金贈与ならやめようかと思いましたが、一度声をかけた以上、子は期待してしまったので、やむをえません。
株は奥さまに贈与したそうです。子も配偶者にあげる分には文句を言いません。
渡辺さんは、株主優待の食事券も元々、夫婦の食事代として利用していたため、現状維持と思いっているようですが、奥さまは「これで友達と食事に行ける」とほくそ笑んでいるようです。(執筆者:FP1級、相続一筋20年 橋本 玄也)
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