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付加保険料は国民年金保険料と同様に納付した全額が社会保険料控除として所得控除の対象となります。
所得控除の金額が増えるとその分課税される所得金額が減りますので税金が少なくなります。
所得税は課税される所得金額等によって税率が5%~45%、住民税は一律10%です。付加保険料の額にその適用される税率を掛けた金額が付加保険料を支払うことによって少なくできる金額となります。
たとえば総所得金額から基礎控除、扶養控除、生命保険料控除、医療費控除など付加保険料に係る社会保険料控除以外の所得控除の金額を引いた課税総所得金額が350万円だった場合を考えてみましょう。
付加保険料を1年間で4,800円納付すると所得控除として20%の税率が適用される課税総所得金額を4,800円削れるので4,800円×20%=960円所得税が少なくなります。
住民税は4,800円×10%=480円少なくなりますので合わせて1,440円税金が少なくなります。
これは付加保険料がその分割り引かれたのと同じですから付加保険料の負担は4,800円-1,440円=3,360円で済みます。
付加年金は3,360円÷2,400円=1.4年で元が取れることになります。
(注)課税所得金額は千円未満切捨て、納付税額は百円未満切捨てのため実際の軽減される税額は上述の金額と異なる場合があります。
付加年金は繰下げ受給もできます。付加年金単独での繰下げ受給はできませんが、老齢基礎年金を繰下げ受給にすると付加年金も繰下げ受給となり老齢基礎年金の増額率に応じて付加年金も増額されます。
たとえば老齢基礎年金を5年繰下げて70歳から受給する場合年金額は1か月あたり0.7%増額されますので0.7%×12月×5年=42%増額されます。
1年間の付加保険料を納付した場合の付加年金はこの場合2,400円×142%=3,408円に増えます。
上の所得控除の例の場合の3,360円の付加保険料の負担で5年繰下げた場合の年金受給額3,408円を受け取る場合3,360円÷3,408円≒0.99年となり、何と1年で元が取れます。
例に挙げた金額は1年分の付加保険料の負担で将来受け取れる付加年金の額ですので実際には納付した年数に応じて付加年金の額は増えていきます。
適用される所得税率や繰下げ受給の有無、年数によって1年で元が取れるとはかぎりませんが税金を納付されている方は少なくとも2年を下回る期間で元が取れることになります。
付加年金は定額のため物価スライドがなくインフレにより受け取るときにその価値が減少してしまう恐れがあります。
また、万一65歳前に亡くなると納付した付加保険料は戻ってきません。こうしたデメリットはありますが付加保険料の負担は相対的には大きな額ではありません。
実質2年以下で元が取れるお得度は検討する価値が十分あると思います。(執筆者:犬山 忠宏)
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