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「実家じまい」のタイミング 相続放棄をすればいいだけではない問題点
借地権とは、建物を建てるために土地を借りる権利です。
他人が所有している土地を借りて建物を建築した場合、土地を借りた人は借地権を有することになり、相続税の課税対象となります。
借地権の相続税評価額は、土地の評価額に借地権割合を乗じることで算出でき、土地の所在する地域によって借地権割合は異なります。
土地の所有者であれば、登記簿に名前がありますし、固定資産税通知書も届きますので相続人も把握しやすいです。
しかし借地権は登記簿にも名前が出てきませんので、見落としやすい権利ですのでご注意ください。
相続税は、亡くなった時点で所有していた財産が対象ですので、預貯金は相続開始日の預金残高を確認する必要があります。
預貯金の残高を調べる際、気を付けなければいけないのが利息の存在です。
銀行や郵便局にお金を預けていると利息が発生しますが、利息も相続税の課税対象であり、相続開始日時点の利息を相続財産として計上しなければなりません。
定期預金がある場合には、相続開始日時点で解約した際に受け取れる利息(既経過利息)を計算する必要があります。
既経過利息を計算するのは大変ですが、残高証明書には利息も含めた金額が記載されますので、金融機関に残高証明書の発行依頼をすれば利息計算は不要です。
税務署から指摘されやすい財産で多いのが、相続開始日で手元にあった現金です。
自宅にある現金も相続財産ですので、タンス預金や亡くなった人の財布も確認する必要があります。
相続が始まると、銀行口座が凍結し預貯金の入出金が原則できなくなるため、相続開始日に亡くなった人の口座からお金をおろすこともあります。
当日にお金を下ろした場合、残高証明書には出金後の金額が表示されますので、出金したお金は預貯金とは別に相続財産として計上してください。
電話加入権とは、固定電話を設置する際に必要になる権利であり、亡くなった人の名義で電話加入権を有していれば、相続税の課税対象財産となります。
令和2年までの電話加入権については、国税庁ホームページの「財産評価基準」で電話加入権の金額が確認できました。
しかし令和3年1月1日以後の相続から電話加入権の取り扱いが変更し、売買実例価額や精通者意見価格等を参酌して評価することとなりました。
電話加入権の売買実例を確認する方法もありますが、実際の相続税の申告においては、電話加入権を「家庭用動産等」に含めても差し支えないものとなる見込みです。
参照:デジタル庁 e-Govパブリック・コメント「財産評価基本通達の一部改正(案)の概要(pdf)」
なお相続財産は個々に評価するのが原則ですが、1個(1組)の価額が5万円以下の動産については、一括評価することも可能です。
そのため電話加入権以外にも、洋服や家電など高価な財産を除く動産は、「家庭用動産等」に含めることもできます。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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