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「実家じまい」のタイミング 相続放棄をすればいいだけではない問題点
贈与税の課税対象となるのは、経済的利益を受けた場合です。
「経済的利益」とは、財産をもらうことだけでなく、債務免除や相場よりも低い金額で財産を購入できた場合も含まれます。
たとえば親族間で不動産を売買する場合、時価よりも著しく低い金額で購入したとすると、時価と売買価格の差額が贈与とみなされる場合もあります。
ただそうなってきますと、親の土地に使用料を支払わないで建物を建てた場合、「タダで土地を借りているので贈与税の対象になるのでは?」と思うかもしれません。
しかし無償で借り貸しする「使用貸借」で土地を借りている場合、贈与税は課されませんので、親の土地の上に建物を建てた際、贈与税を支払うことにはなりません。
ただし賃貸契約書などで地代を支払うことが決まっているケースで、地代の支払いを免除してもらった場合については、返済の免除を受けた金額が贈与税の対象になりますのでご注意ください。
子が自宅を購入する際、親が資金援助をすると支援金が贈与税の対象になります。
一定の要件を満たせば、住宅取得等資金の非課税制度を活用することができ、令和3年であれば最大1,500万円の非課税控除を適用することが可能です。
親名義の土地を子の名義に変更する場合、金銭のやり取りがなければ子は親から土地を無償で譲ってもらったことになりますので、贈与税の課税対象です。
対策としては、最大2,500万円まで控除できる相続時精算課税制度を適用して、贈与税を支払わずに土地の名義を変える方法もあります。
なお贈与税の特例を適用するためには、確定申告が必要です。
期限内に申告しないと特例は適用できませんので、申告期間である贈与を受けた翌年2月1日から3月15日の間に手続きを行ってください。
2世帯や3世帯で住むために、建物を増改築することもあります。
親名義の建物の増築を子が行った場合、増築部分は建物の所有者である親の所有物です。
増築にかかった費用は子が支払っているため、親が子に建築資金の支払いをしないと、親は子から増築資金の提供を受けたとして、贈与税の課税対象となります。
贈与税を支払わずに子が増築資金を支払いたい場合には、子が支払った増築資金分だけ建物の名義を親から子へ移転させる方法もあります。
ただ対価の伴う建物の持分移転は、譲渡所得の課税対象となりますのでご注意ください。
譲渡所得税は譲渡利益に対して課され、親子間の売買では居住用財産の特例制度を適用できません。
税務署は自宅を購入する際の資金援助や、不動産の名義変更で発生する贈与の実態をチェックしています。
贈与事実があれば贈与税の課税対象になりますし、贈与財産の金額が基礎控除額110万円を超えた際は、贈与税を納めなければなりません。
「贈与になると思わなかった」との言い分は税務署に通じません。
不動産の名義変更や資金援助をする際は、贈与税の課税関係を確認してから行ってください。(執筆者:元税務署職員 平井 拓)
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