iDeCoとNISAはいずれも国が推進している資産活用方法であり、税制優遇を受けられるため、始めやすい投資の1つとして挙げられます。一方で、いずれも非課税枠に上限が設けられているため、iDeCoとNISAだけでは十分な資産増加などの効果を得られない場合があります。

そこで本コラムでは、iDeCoとNISA以外の資産運用方法を10個取り上げ、それぞれの概要やメリット・デメリット、注意点等を紹介します。

iDeCo・NISAを最大限活用するには?

(画像:PIXTA)

まずはiDeCoとNISAの特性について理解しましょう。どちらも税制優遇を受けながら資産運用ができる制度ですが、以下のような違いがあります。

iDeCoNISA
主な目的老後資金の準備限定されない
対象者20~65歳の人18歳以上の人
非課税対象所得控除・運用益運用益・配当金
年間の非課税投資上限額14.4~81.6万円360万円(新NISA)
非課税保有限度総額なし1,800万円(うち、成長投資枠は1,200万円)
引き出し原則60歳以降途中引き出し可能
メリット節税効果が高い自由度が高い

このように、iDeCoは老後資金の準備に特化しているほか、掛金が所得控除の対象となるため節税効果が大きいのが特徴です。一方、NISAは目的が限定されておらず、比較的短期的な資産運用にも対応可能で、自由度の高い仕組みとなっています。

自身の年齢や収入、投資の目的に応じて、自分に合った投資を検討しましょう。

iDeCo・NISA以外でおすすめの資産運用を10個紹介

ここからは、iDeCoやNISA以外での資産運用の方法を10個それぞれの特徴や、メリット・デメリットについて解説します。投資初心者の方は、まず自身の投資目的やリスク許容度を明確にしたうえで、どの方法が適しているかを検討しましょう。

生命保険

貯蓄型生命保険は保障機能と資産形成機能を兼ね備えた金融商品です。毎月一定額を積み立てることで、将来の生活資金や教育資金として活用できます。契約時に将来受け取る金額が確定する定額型と、運用実績に応じて受取金額が変動する変額型があります。

生命保険のメリットは、安定的な資産形成が可能な点と、保険金の一部に非課税枠が設けられているため、相続税対策としても活用できる点です。非課税枠は「500万円×法定相続人の数」となっており、例えば法定相続人が3人の場合には1,500万円分までは相続税の課税対象になりません。

一方でデメリットとしては、解約返戻金が払込保険料を下回る可能性があることや、運用利回りが比較的低いことが挙げられます。

生命保険の目的は事故や事件に巻き込まれるなど万が一の際に備えられるということであり、資産運用が最大の目的ではありません。保険料とライフプランとのバランスを見ながら無理のない範囲で行うことが重要です。

株式

株式投資は企業の成長性や収益性に着目して、直接企業の株式を購入する投資方法です。値上がり益(キャピタルゲイン)と配当金(インカムゲイン)の両方を得られます。

近年ではインターネット証券の普及や、スマートフォン用アプリの登場により、少額から始められるようになりました。ただし、企業業績や市場環境によって価格が大きく変動するリスクがあり、投資に関する知識と経験が必要です。

なお、NISAの非課税口座を利用して株式投資をすることも可能です。

投資信託

投資信託とは、多くの投資家から集めた資金を1つにまとめ、専門の運用会社がさまざまな金融商品(株式、債券、不動産など)に分散投資して運用する金融商品です。運用によって生じた損益は、それぞれの投資額に応じてすべての投資家に帰属します。

投資信託の運用成績は市場環境によって変動します。分散投資されているとはいえ、株式等を組み合わせた商品であるため、元本割れのリスクがあります。元本を保証されている商品ではありません。

なお、iDeCoやNISAで利用される金融商品の多くも投資信託が中心となっています。

ETF(上場投資信託)

ETF(Exchange Traded Fund)とは、上場投資信託のことで、証券取引所に上場しており、株式のように市場でリアルタイムに売買できる投資信託の一種です。

ETFは通常の投資信託と比べて運用コストが低く、取引の即時性が高いのが特徴です。ただし、投資信託の売買価格(基準価格)が1日に1回、市場の終値を元に算出され、運用会社を通じて売買されるものであるのに対し、ETFは市場が空いている間にリアルタイムで決済できることから、短期的な値動きに振り回され、冷静な投資判断ができなくなる可能性もあります。

なお、NISAでETFを選択することも可能です。

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーはAIを活用して自動的に資産運用を行うサービスです。AIが利用者のリスク許容度や投資目的に応じて、最適なポートフォリオを提案し運用してくれます。定期的な資産配分の見直し(リバランス)も自動で行われるため、手間がかからないのが特徴です。

専門家が運用を行う投資信託と比べ、運用手数料も比較的低く抑えられていることが一般的です。ただし、完全自動運用のため、市場環境の急激な変化への対応が遅れる可能性があります。

外国為替証拠金取引(FX)

外国為替証拠金取引(FX)とは日本円と米ドルなどの外国通貨との為替相場を予測して売買を行う資産運用方法です。最大の特徴はレバレッジの活用により、少額の元手でも大きな取引が可能な点です。国内の証券会社ではレバレッジを最大25倍かけることができ、例えば手元に100万円の資金がある場合には、最大2,500万円分の取引ができることになります。

しかし、レバレッジを活かせるということはハイリスクハイリターンであることを意味しており、価格が予想と逆に動いた場合には、元本を大きく損なうリスクが伴います。そのため、iDeCoやNISAのような長期的・安定的な運用とは異なり、短期的な値動きに対応する知識と経験が求められる非常にリスクの高い金融商品になります。

国債・社債

国債は国が発行する債券であり、社債は企業が発行する債券のことをいいます。国や企業に資金を貸し付ける形で運用を行う手法です。これらは預貯金よりも高い利回りを期待できる一方で、リスクは比較的低めです。特に国債は発行元が財務省であるため、元本が安全に保たれる傾向があります。

一方で、社債は発行企業の信用力が利回りに影響を与えるため、企業の財務状況や業績を事前に確認することが重要です。リスクを抑えながら、一定の収益を得たい方にはおすすめですが、金利変動やインフレに注意を払う必要があります。

預貯金

預貯金も資産運用の1つになります。しかし、低金利環境では運用効果がほとんど期待できないため、実質的な資産増加にはつながりにくいです。一方で、元本保証があるため、安全性を重視する方には適した選択肢といえるでしょう。

また、外貨預金も選択肢の1つではありますが、デフォルトリスクや為替リスクが伴う点には注意が必要です。

金などの貴金属投資

貴金属投資はインフレヘッジや分散投資の観点から注目される資産運用方法です。金の場合、金貨や金地金として現物で保有する方法と、金ETFなどの金融商品を通じて投資する方法があります。

現物投資のメリットは価値が比較的安定していることや、換金性が高いことです。ただし、保管場所の確保や盗難リスク、売買手数料が比較的高額になるといったデメリットもあります。

不動産投資

不動産投資は収益性と安定性の両方を備えた資産運用の選択肢です。主な収益源は、家賃収入と物件の売却益です。物件の選び方次第では安定した収入を期待でき、資産のインフレ対策にもなります

ただし、空室リスクや修繕費用などのコストを考慮する必要があります。不動産投資を成功させるには、立地や物件の状態をよく調査し、将来的な需要を見極めることが重要です。

不動産投資で失敗しないためのポイント4つ

(画像:PIXTA)

不動産投資を始める際、リスクを抑えながら堅実に資産を運用するには、事前の準備と計画が重要です。

以下からは、特に注意すべきポイントを4つ紹介します。

適切な立地・物件を選ぶ

不動産投資では立地や物件の選び方が収益性を大きく左右します。単に利回りが高い物件を選ぶだけではなく、需要が安定しているエリアや、人口増加が見込まれる地域を優先的に検討することが大切です。

また、物件の状態や築年数、周辺環境なども重要な要素です。交通の利便性や学校、商業施設へのアクセスなど、複数の要因を総合的に判断することで、空室リスクを抑えることができます。

詳細な収支シミュレーションを行う

投資前に詳細な収支シミュレーションを行うことはリスク管理の基本です。物件購入費用やローン返済額に加え、固定資産税や所得税、保険料、修繕費用などのコストも含めて計算しましょう。

さらに、空室リスクを考慮して、一定期間家賃収入が得られない場合の収支を試算しておくことも重要です。綿密なシミュレーションにより、不測の事態にも対応できる投資計画を立てることができます。

良い管理会社に委託する

物件の管理を専門の管理会社に委託することで、運営の手間を省くとともにリスクを軽減できます。管理会社は入居者募集や家賃回収、トラブル対応などを代行してくれるため、投資初心者でも安心して物件を運営できます。

ただし、管理会社の選定は慎重に行う必要があります。過去の実績や評判、手数料の明確さなどを確認し、信頼できるパートナーを見つけることが大切です。

専門家や経験者に相談する

不動産投資を成功させるためには、専門家や経験者の助言を得ることが非常に有効です。例えば、不動産会社や金融機関のアドバイザーにローンの組み方を相談したり、成功している投資家から実体験を聞いたりすることで、投資リスクや不安の軽減につながります。

さらに、法律や税金に詳しい専門家に相談することで、物件購入や運営に関わるリスクを減らすこともできます。最終的な判断は自分自身で行うため自己責任になりますが、専門家や経験者のアドバイスを参考にしましょう。

不動産投資に関してそのほかに注意すべきポイントや、具体的な投資ステップについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

【関連記事】【不動産投資未経験者必見】失敗しにくい方法とは?不動産投資の始め方を徹底解説!

資産運用をする際の注意点

(画像:PIXTA)

資産運用を検討する際には注意すべきポイントを事前に押さえておくことが大切です。それぞれの資産運用には特有のリスクやメリットがあるため、自身の状況や目標に合わせた運用を選ぶようにしましょう。以下では、特に重要な3つの注意点について解説します。

投資目的を明確にする

資産運用を始める前に、何のために投資を行うのかを明確にすることが重要です。老後の資金を確保するのか、短期的な収益を目指すのかによって、選ぶべき商品や運用の方法が大きく変わります。

また、投資を終えるタイミング、いわゆる出口戦略を考えることも必要です。目的が不明確なまま運用を始めると、リスクの高い商品に無計画に投資してしまう可能性があり、結果的に損失を招くことがあります。

リスク管理を徹底する

どの資産運用にも必ずリスクが伴います。そのため、リスクを適切に把握し、管理することが欠かせません。例えば、値動きが大きい株式やFXは、収益性が高い反面、元本割れのリスクが高まります。一方で、国債や預貯金はリスクが低いものの、大きな収益は見込めません。

リスクを抑えるためには、投資対象の商品特性や市場動向を十分に調査し、自分のリスク許容度を超えない範囲で運用を行うことが重要です。

複数の投資先・運用方法に資産を分散する

資産運用においてリスクを軽減するためには、資産を分散させることが効果的です。1つの資産や運用方法に集中してしまうと、予期せぬ市場変動があった際に大きな損失を被る可能性があります。

そこで、株式、債券、不動産など、異なる商品や地域に分散投資することで、リスクを分散することも重要です。さらに、長期的な視点で複数の運用方法を組み合わせ、バランスの取れたポートフォリオを構築することが重要です。

manabu不動産投資に会員登録することで、下の3つの特典を受け取ることができます。

①会員限定のオリジナル記事が読める
②気になる著者をフォローできる
③気になる記事をクリップしてまとめ読みできる

- コラムに関する注意事項 -

本コラムは一般的な情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘することを目的とするものではありません。
当社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づきますが、その正確性や確実性を保証するものではありません。
外部執筆者の方に本コラムを執筆いただいていますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当社の見解等を示すものではありません。
本コラムの記載内容は、予告なしに変更されることがあります。

情報提供元: manabu不動産投資
記事名:「 iDeCo・NISA以外の資産運用はなにがおすすめ?10個の資産運用を紹介