以下は、フィスコ・マーケットレポーターのタマラ・ソイキナ(ツイッター@ crypto_russia)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2020年4月27日に執筆

最近日本の仮想通貨(暗号資産)取引所で新しく海外のブロックチェーンプロジェクトが上場する事例が増えてきました。日本ではあまり知られていなくても、世界的に大きなコミュニティを持ち、将来性のある野心的なプロジェクトは多くあります。

今回は、2019年に中国の招商銀行や大手仮想通貨取引所Huobiとの提携を発表したNervosという中国のプロジェクトにお話を聞く機会をいただきました。オペレーション担当のベン・ウォーターズ氏がお話をしてくれました。

タ「こんにちは。あらためて簡単にNervosについてご説明をお願いできますか?」
べ「Nervosはオープンソースのパブリックチェーンエコシステムであり、また今日ビットコインやイーサリアムが直面する最も大きな課題を解決するプロトコルの集合体です。

Nervos CKB (Common Knowledge Base)は、Nervos Networkのレイヤー1、プルーフ・オブ・ワークのパブリック・ブロックチェーン・プロトコルです。スマートコントラクト、レイヤー2のスケーリングを可能にしながら、ビットコインのセキュリティ、不変性、パーミッションレスの性質を利用して、あらゆる暗号資産を保存することができ、そして「価値の保存」というクリプトエコノミーデザインと、ネイティブトークンであるCKByteを通じてネットワーク全体の価値を把握することができます。」


タ「既にあるサイドチェーンのNervosコアチームが開発するMutaについて教えてください。またどんなユースケースがありますか?」
ベ「Mutaは、NervosのCKBレイヤー1のセキュリティとファイナリティを活用しながら、世界中の誰もが独自のブロックチェーンプラットフォームを立ち上げることを可能にします。

Mutaは、パブリックチェーンとコンソーシアムチェーンの両方で使用できる高性能なブロックチェーンフレームワークです。PoA、PoS、DPoSチェーンとしてカスタマイズすることができ、さまざまなエコノミーモデルやガバナンスモデルで展開することができます。CKBや他のMutaチェーンとの相互運用性はビルトイン機能であり、PoW CKBベースレイヤーの高いセキュリティとファイナリティを利用しながら、すべてのMutaを搭載したチェーンが相互にやりとりできるようになっています。

MutaはNervos Networkにとって重要な要素です。CKBを価値とセキュリティのアンカーとして使用し、ユーザーシナリオとスケーラビリティを拡張しています。例えば、Nervos FoundationはHuobi Groupと協力してHuobi Chainを構築しており、Mutaのフレームワークをベースに規制に準拠した分散型金融サービスを模索しています。Mutaは、Nervos Networkの本格的な採用において先駆的な役割を果たすでしょう。」

タ「現在公開している助成金プログラムではインフラ系プロジェクトを募集していますね。このプログラムの対象となるプロジェクトの数と、グラントの規模はどのくらいになるのでしょうか?また選定プロセスについて教えてください。」

ベ「最近開始した3,000万ドル(約32.3億円)の助成金プログラムでは、既に承認され、開発を始めたプロジェクトがたくさんあります。ビットコインのインターオペラビリティ(相互運用性)、ステーブルコイン、ゼロ知識証明、IDEなどのプロジェクトがあります。申請、承認されたすべての助成金プロジェクトは、ここ(※)で見ることができます。

現在、私たちの助成金プログラムは、dapp開発者や起業家がNervos Networkを利用するためのフレームワークを整備するためのインフラ構築に焦点を当てています。ちなみに次の助成金プログラムは、特にプロジェクトやチームの次のフェーズを奨励するようなのものです。」

タ「招商銀行との提携について。銀行とパブリックチェーンの提携は、世界的に事例が少なくとても興味深いです。この提携によって何が実現するのでしょうか?」

ベ「招商銀行は、プロダクトやサービス強化にブロックチェーン技術を利用できないか模索しており、Nervos NetworkとネイティブCKBアーキテクチャを活用した将来的なDeFiアプリケーション強化を計画しています。資産のトークン化、支払い、本人確認などの分野です。
Nervosの独自のレイヤードアーキテクチャを活用することで、セキュリティやパフォーマンスを損なうことなく、ブロックチェーン上でサービスをスケーリングできるようになりす。」

タ「Huobiとの提携について。HuobiがパートナーとしてNervosを選んだ理由は何でしょうか?」

ベ「私たちの開発チームは、Nervos CKBを立ち上げる前にオープンソースのエンタープライズ向けブロックチェーンOS であるCITAを開発しており、中国政府やその他多くの中国企業などに採用された実績がありました。50人以上のフルタイム開発者を擁し、2016年から共に活動していました。そしてその後、ブロックチェーンの本当の価値とメリットを可能にするため、Nervosとしてパーミッションレスシステムを作ることを決めたのです。

つまりNervosがHuobiに選ばれた理由は、その充実した開発実績にあります。CITAや後のNervosを構築したチームほど豊富な経験を持つチームは世界に3~5人しかいません。またNervosは元々金融領域に特化していたこともあり、今回のコラボレーションに最適でした。Huobiにとっては難しくない選択だったと思います。」


タ「ご存知の通り、日本は暗号通貨を法律の枠組みの中で捉え、そして暗号通貨の決済利用を認めた最初の国です。日本市場をどう捉え、どのようなパートナーシップを構築したいと考えていますか?」

ベ「日本はNervosとブロックチェーン技術全体にとって、非常にエキサイティングで進歩的な市場であると考えています。私たちのユニークなレイヤー化されたアプローチと柔軟性のあるデザインは、日本の一般層や企業での利用に非常に適しています。私たちは日本での採用が増えることを期待しており、日本のコミュニティや産業界との長期的な関係を構築していきたいと考えています。」

※:https://talk.nervos.org/c/English/grants/48

写真:著者提供



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情報提供元: FISCO
記事名:「 パブリックチェーンのエンタープライズ利用は普及するか −暗号資産Nervosインタビュー【フィスコ・暗号資産コラム】