米カリフォルニアの新ライセンス法案を阻止するため、新たな仮想通貨擁護団体が誕生した。コインベースやRipple社が本拠を構える同州で、NY州のように大手仮想通貨企業を追い出す恐れがあると懸念している。

9月30日、米国に新しい仮想通貨擁護団体「The Aquarian Advocacy Group(TAAG)」が誕生した。

TAAGが目指すのは、「カリフォルニア版ビットライセンス」と呼ばれる、現在カリフォルニア(CA)州議会で審議されている「議会法案1489」を阻止することと、同様の法案成立を全米で阻止すること、および業界の成長を促すようなポジティブな法律を推進することだ。

CA州議会の多数派リーダーであるIan Calderon議員により、2月に提案されたこの法案(以下、CA法案と表記)は、州内で仮想通貨関連事業を行うにあたり、州の事業監督局(DBO)からの承認を企業に義務付けるもので、顧客確認とマネーロンダリング防止に関する厳しい要件を課すニューヨーク州のビットライセンスに類似している。

TAAGの常任理事であるMargaux Avedisian氏は発表で次のように主張している。「CA州の仮想通貨企業は、ライセンスを必要としない。イノベーションを打ち砕く不必要な法律を可決すると、ニューヨークやワシントン州がビットライセンスを可決した際に経験したように、CA州から大量に企業が流出してしまう。」

CA州は、モノやサービスに対する正当な支払い手段として、初めてデジタル通貨を承認した州の一つであり、大手仮想通貨取引所のコインベースやクラーケン、またリップル社などが本拠を置いている。なお、新たに開業したバイナンス米国版「Binance.US」も同州を本拠地としている。

同州では、連邦法の規制により、企業は送金業者として登録し、既存のKYC / AMLに関する法律を遵守する必要があるが、州法レベルの追加要件はない。2015年には、提案されたビットライセンスが否決された経緯もある。

Avedisian氏は、「CA法案」にはいくつかの問題点が潜んでいると述べている。この法案が可決された場合、認可を受けた仮想通貨関連企業は、規制当局から顧客の個人データ提出を課せられることも考えられる。さらにそのデータが海外機関と共有される可能性があると言う。特に国際的に事業を展開している企業の場合、欧州連合の一般データ保護規則(GDPR)との兼ね合いもあり、困難な状況が予想される。

さらに、この法案が法律として施行されるまで、企業は規制当局に登録申請をすることができないだけでなく、すでに事業に従事している企業に対しても、規制遵守のための猶予期間を与える既得権条項も無いため(ニューヨークのビットライセンスには含まれている)、法律の成立日から、違反した企業には罰金が課せられることになる。その額は、1日あたり50,000ドル(約540万円)になるという。

支持を表明している仮想通貨業界団体
CA法案は、統一州法委員会(ULC)が作成したモデル法である、仮想通貨事業統一規制(Uniform Regulation of Virtual Currency Businesses Act)を規範として作られている。現在同様の法案が、ハワイ州、ネバダ州、ロードアイランド州、オクラホマ州にも提出されている。そのうち、ロードアイランド州で可決されたものの、他の州では行き詰まっているようだ。

ちなみに、仮想通貨先進州と呼ばれるワイオミング州は、同様のモデル法案をきっぱりと否決している。

一方、モデル法とCA法案を支持する業界団体もある。仮想通貨業界の中でも中心的存在である、「コインセンター」と「デジタル商工会議所」だ。

特に、コインセンターのリサーチ部門トップのPeter Van Valkenburgh氏は、CA法案を支持するだけではなく、その基盤となったULCのモデル法の作成を支援した人物でもある。

Valkenburgh氏は、法案がライセンス要件の対象となる事業者を明確に、また狭く限定して定義するため、仮想通貨業界にとっては良いことだと述べ、規制の対象を次のように説明した。

「顧客のためにビットコインまたは他の仮想通貨を保有する人だけが規制される。マイナー、フルノード、またはライトニングノードのオペレーター、ソフトウェア開発者、およびウォレットに自分のBTCを保有している人は、この法律の下で規制されることは無い。」

そして、デジタル商工会議所責任者のPerianne Boring氏は、「モデル法は、全国の不均一で寄せ集め的な規則と要件に対処するための、暫定的かつ実践的な取り組みであると考えており、同法の採用を推奨する。」と支持を表明する一方で、このような問題は最終的には、連邦法により対処するべきだと述べている。

コンサルティング会社Global Kompass StrategiesのCIOであるAndrea Tinianow氏は、個人が直接に仮想通貨を所有する権利が、既存の商法により保護されるか、それとも、その保護が間接保有する企業だけにとどまるのかどうかが、モデル法を受け入れるかどうかの焦点になると述べている。ワイオミング州では、本質的にP2Pの取引が容易で仲介業者を必要としない、ブロックチェーンベース資産の個人所有の保護を優先することになっている。

CA州議会は、今年最後の審議期間に入っているため、TAAGは来年の1月まで法案反対への支持を集め、第2回目の審議が始まるのに備える時間があると、米メディアCrypto Briefingは分析した。仮想通貨にとって2020年がどのような年になるのかを決定づける重要な要因の一つになると考えられるだろう。

(記事提供:コインポスト)
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情報提供元: FISCO
記事名:「 カリフォルニア版ビットライセンスに警戒感、大手暗号資産企業を追い出すおそれ【フィスコ・ビットコインニュース】