7日の香港市場は、主要55銘柄で構成されるハンセン指数が前日比26.81ポイント(0.09%)安の28610.65ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が57.37ポイント(0.53%)安の10699.00ポイントとそろって反落した。ITやハイテクなどで構成されるハンセン科技指数は2.2%安。3月下旬以来の安値水準に落ち込んだ。売買代金は1534億9700万香港ドルとなっている(6日は1610億6000万香港ドル)。


米中関係の改善期待が後退。米メディアは昨夜、「バイデン米政権は、トランプ前政権が導入した一部の中国企業に対する投資禁止措置を継続する可能性が高い」と報じている。それより先、香港経済日報など複数メディアは6日、「中国軍関連企業への投資禁止令について、バイデン政権が修正を検討しているもよう」と伝えていた。インフレ高進の懸念もくすぶる。経済活動の再開を背景に、金属や原油、穀物などの商品市況高が足元で目立っている。コストプッシュインフレのマイナス面が意識されたほか、金利上昇も警戒された。米中の景気期待などで買い先行したものの、上値は重く、指数は中盤からマイナスに転じている。なお取引時間中に公表された4月の中国貿易統計は、輸出の伸びが大幅に上振れる半面、輸入はやや下振れた。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382/HK)が8.1%安、バイオ医薬品開発受託会社の薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス:2269/HK)が4.2%安、火鍋チェーン最大手の海底撈国際HD(ハイディラオ・インターナショナル・ホールディング:6862/HK)が2.9%安と下げが目立った。


セクター別では、スマートフォン部材・組立てや半導体のハイテクが安い。上記した舜宇光学科技のほか、丘タイ科技(Qテクノロジー:1478/HK)が8.8%、高偉電子HD(コーウェル・イー・ホールディングス:1415/HK)が2.7%、瑞声科技HD(AACテクノロジーズ・ホールディングス:2018/HK)が2.4%、富智康集団(FIHモバイル:2038/HK)が1.9%、華虹半導体(1347/HK)が4.5%、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が3.4%ずつ下落した。


自動車セクターもさえない。比亜迪(BYD:1211/HK)が5.7%安、長城汽車(2333/HK)が5.4%安、吉利汽車HD(175/HK)が2.7%安、広州汽車集団(2238/HK)が1.9%安、中国恒大新能源汽車集団(708/HK)が1.6%安と値を下げた。


半面、非鉄や鉄鋼、段ボールの素材セクターはしっかり。洛陽モリブデン集団(3993/HK)が3.1%高、新疆新キン鉱業(3833/HK)が2.0%高、重慶鋼鉄(1053/HK)が7.6%高、中国東方集団HD(581/HK)が1.8%高、玖龍紙業(2689/HK)が10.6%高、理文造紙(2314/HK)が7.9%高、山東晨鳴紙業集団(1812/HK)が6.0%高と値を上げた。この日の上海期貨交易所(上海商品先物取引所)では、非鉄や鉄筋などの先物価格が軒並み上昇している。中国や米国、欧州の一部などで経済活動の正常化が進む中、需要増の期待も高まる状況だ。また中国では、当局の環境対策による減産で市況が引き締まるとの見方も持続している。段ボール各社については、パルプなど原料高を理由に、5月の販売価格引き上げをそれぞれ通知したことが刺激。市場では予想外の値上げと受け止められた。


一方、本土市場は3日続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.65%安の3418.87ポイントで取引を終了した。ハイテク株が安い。食品飲料株、医薬品株、自動車株、不動産株、証券株なども売られた。半面、素材株は高い。石炭・石油株、銀行株、海運株、公益株も買われた。

亜州リサーチ(株)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 7日の香港市場概況:ハンセン0.1%安で反落、ハイテク関連に売り