週明け29日の香港市場は、主要55銘柄で構成されるハンセン指数が前営業日比1.87ポイント(0.01%)高の28338.30ポイントと小幅ながら続伸する半面、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)は23.12ポイント(0.21%)安の10942.94ポイントと反落した。売買代金は1903億3100万香港ドルとなっている(26日は1839億400万香港ドル)。


内外景気の先行き楽観が支え。米国では新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、経済活動の正常化が早まると予測されている。また、中国本土では、特定銀行の預金準備率が間もなく引き下げられる——との観測も流れた。


ただ、中国と西側諸国の対立が警戒される中で上値は重い。中国外交部は27日、新疆ウイグル自治区の少数民族に対する人権問題を巡り、制裁措置を打ち出した各国に対し、対抗措置を講じると発表した。米国とカナダの関係者に制裁を科す。また、26日のNY市場で、ADR上場する中国銘柄の一角が急落したことも不安材料だ。一部のファンドが損失覚悟で投げ売りしたという。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、中国中堅デベロッパーの龍湖集団HD(960/HK)が7.0%高と続伸。26日昼に公表した通期決算の内容が引き続き材料視されている。純利益は9.1%増加。期末配当は前年の0.84人民元を上回る1.03人民元を予定する。そのほか、全国展開型デベロッパーの中国海外発展(688/HK)が6.3%高、国内銀行5位の交通銀行(3328/HK)が5.8%高と上げが目立った。中国海外発展が昼に公表した決算は6%増益。市場予想を上回るなか、後場に入り上げ幅をやや広げている。交通銀行の決算は、小幅ながら増益・増配だった。


セクター別では、石炭が高い。エン州煤業(1171/HK)が16.0%、中国神華能源(1088/HK)が10.3%、中国中煤能源(1898/HK)が4.0%ずつ上昇した。エン州煤業の通期決算は33%減益だったが、期末配当の増額と特別配当の実施が予定されている。中国神華能源の決算は14%減益。期末配当は、前年から大幅に増額された。


そのほかの業績動向を手がかりにした動きでは、建設機械メーカー中国大手の中国龍工HD(3339/HK)が5.6%高と続伸。増益と増配を発表したことが引き続き好感されている。約2年9カ月ぶりの高値水準を回復した。石油・化学大手の中国石油化工(サイノペック:386/HK)は5.5%高。同社の通期決算は42%減益だったが、今年1〜3月期は黒字転換の見通しを示している。そのほか、ニッケル大手の新疆新キン鉱業(3833/HK)は3.1%高。同社の決算では、利益5.5倍を達成した。


半面、業績が低迷した銘柄群の一角はさえない。減益決算を報告した銘柄では美団(メイトゥアン:3690/HK)が7.2%安、慶鈴汽車(チンリン・モータース:1122/HK)が6.2%安、粤海投資(広東インベストメント:270/HK)が4.9%安、中国太平洋保険集団(2601/HK)が1.0%安と下落した。飲食ポータルサイトの美団は、四半期ベースで赤字が続いている。


一方、本土市場は続伸。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.50%高の3435.30ポイントで取引を終了した。石炭株が高い。素材株、公益株、食品飲料株、銀行株なども買われた。半面、自動車株は安い。不動産株、海運株、保険・証券株、ハイテク株の一角も売られた。

亜州リサーチ(株)

<FA>
情報提供元: FISCO
記事名:「 29日の香港市場概況:ハンセン0.01%高で続伸、石炭セクター急伸