11日の香港市場は、主要52銘柄で構成されるハンセン指数が前日比478.09ポイント(1.65%)高の29385.61ポイントと3日続伸し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)も280.73ポイント(2.54%)高の11340.40ポイントと続伸した。売買代金は2152億6600万香港ドルとなっている(10日は1904億7900万香港ドル)。


経済政策の期待が内外で強まる流れ。新型コロナウイルス流行を受けた1兆9000億米ドル規模の米追加経済対策法は、今週12日にも正式成立する見込みだ。中国では、全国人民代表大会(全人代)が本日の日本時間16時に閉会。その後、李克強首相は記者会見を開いている。中国の経済指標上振れもプラス。昨日引け後に報告された今年2月の金融統計では、人民元建て新規融資とマネーサプライM2などが事前予想を上回った。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、民営製薬会社の石薬集団(1093/HK)が10.9%高、飲食ポータルサイトの美団(メイトゥアン:3690/HK)が8.7%高、バイオ医薬品開発受託会社の薬明生物技術(ウーシー・バイオロジクス:2269/HK)が7.3%高と上げが目立った。


セクター別では、非鉄やレアアース、鉄鋼、セメントの素材が高い。新疆新キン鉱業(3833/HK)が17.0%、中国アルミ(チャルコ:2600/HK)が12.8%、五鉱資源(1208/HK)が12.4%、中国稀土HD(チャイナ・レア・アース:769/HK)が11.3%、洛陽モリブデン集団(3993/HK)が8.9%、江西銅業(358/HK)が8.6%、鞍鋼(347/HK)が6.1%、中国東方集団HD(581/HK)が5.1%、中国建材(3323/HK)が6.2%、中国西部水泥(西部セメント:2233/HK)が3.2%ずつ上昇している。この日の上海期貨交易所(上海商品先物取引所)では、銅やアルミ、鉄筋など主要な商品先物が全面高で推移した。


半導体セクターも急伸。華虹半導体(1347/HK)が14.0%高、上海復旦微電子集団(1385/HK)が13.4%高、中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が10.1%高、ASMパシフィック・テクノロジー(522/HK)が4.7%高で取引を終えた。中国半導体産業協会(CSIA)は11日、輸出規制や安全性などを巡り、米国半導体工業会(SIA)と作業部会を設立したと発表。両国の摩擦が薄らぐと期待された。


海上輸送やコンテナリース・生産、港湾の海運関連もしっかり。中遠海運HD(1919/HK)が11.4%高、中遠海運能源運輸(1138/HK)が4.9%高、太平洋航運集団(2343/HK)が4.4%高、中国国際海運集装箱(中国国際コンテナ:2039/HK)が6.9%高、中遠海運発展(2866/HK)が4.2%高、天津港発展HD(3382/HK)が3.2%高、中遠海運港口(1199/HK)が2.8%高と値を上げている。天津ふ頭を運営する天津港発展に関しては、2020年通期決算の55%増益見通しが好感された。


太陽光や風力などエコ発電関連も物色される。新特能源(シンター・エナジー:1799/HK)が13.9%高、信義光能HD(968/HK)が7.6%高、陽光能源HD(757/HK)が7.3%高、福莱特玻璃集団(フラット・グラス・グループ:6865/HK)が6.4%高、保利協キン能源HD(GCLポリー・エナジー:3800/HK)が6.1%高、龍源電力集団(916/HK)が7.4%高、新疆金風科技(2208/HK)が4.9%高、中国高速伝動設備集団(658/HK)が3.5%高で引けた。中国政府は2060年までに、二酸化炭素(CO2)排出量と除去量を差し引きゼロにする「カーボンニュートラル」を実現する——との国策を掲げている。


一方、本土市場は6日ぶりに急反発。主要指標の上海総合指数は、前日比2.36%高の3436.83ポイントで取引を終了した。景気動向に敏感な素材株が高い。ハイテク株、消費関連株、金融株、環境関連株、医薬品株、インフラ関連株、運輸株、不動産株など幅広く買われた。

亜州リサーチ(株)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 11日の香港市場概況:ハンセン1.7%高で3日続伸、素材セクター上げ目立つ