15日の香港市場は小幅に値上がり。主要52銘柄で構成されるハンセン指数が前日比77.00ポイント(0.27%)高の28573.86ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が21.36ポイント(0.19%)高の11320.53ポイントとそろって続伸した。ハンセン指数は約1年ぶりの高値水準を切り上げている。売買代金は2539億8300万香港ドルに拡大した(14日は2077億1600万香港ドル)。


もみ合いの中で買われる流れ。中国人民銀行(中央銀行)の資金供給が好感された。人民銀は朝方、中期貸出制度(MLF)を通じ、5000億人民元を市中に供給。春節(旧正月)の大型連休を2月11〜17日に控え、金融当局は資金流動性を高めるとの思惑が強まっている。また、前日に公表された昨年12月の中国貿易統計で、輸出の伸びが上振れたことも引き続き材料視された。


ただ、上値は重い。新型コロナウイルス感染の再拡大、米国の対中制裁強化などはネガティブ材料だ。米国防総省は14日、中国人民解放軍が所有、または支配していると見なされる中国企業のリストに小米集団(シャオミ・コーポレーション:1810/HK)など9社を追加。米国人による株式投資の禁止対象となる。さらに米商務省は同日、「エンティティリスト(輸出規制対象リスト)」に中国海洋石油集団(CNOOC)を追加すると発表。トランプ大統領は政権交代を目前に控え、対中圧力を強めている。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、生命保険業務を手がけるAIAグループ(1299/HK)が3.7%高、保険事業で中国2位の中国平安保険(2318/HK)が3.5%高、不動産投資会社の九龍倉置業地産投資(1997/HK)が2.6%高と上げが目立った(中国平安保険は最高値更新)。このほか、インターネットサービス中国最大手の騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が2.5%高と続伸し、上場来高値を更新している。


セクター別では、中国の銀行が高い。中国郵政儲蓄銀行(1658/HK)が10.0%、招商銀行(3968/HK)が6.6%、中国工商銀行(1398/HK)が2.6%、中国建設銀行(939/HK)が1.8%ずつ上昇した(中国郵政儲蓄銀行と招商銀行は最高値更新)。招商銀行は14日引け後に20年通期決算(速報)を報告。増益を確保したうえで、不良債権比率が1.16→1.07%に改善したことを明らかにした。


他の個別株動向では、自動車メーカー中堅の広州汽車集団(2238/HK)が19.5%高と急騰。「動力バッテリーにグラフェン電極を採用した次世代EV車の試験が進ちょくしているもよう」と報じられた。


半面、上述したスマートフォン中国大手の小米は10.3%安。同社株はハンセン指数と本土株指数などに採用されていることもあり、全体相場を重くする一因となった。


自動車セクターも総じて安い。前記した広州汽車を除き、東風汽車集団(489/HK)が5.1%、吉利汽車HD(175/HK)が4.9%、長城汽車(2333/HK)が3.7%、北京汽車(1958/HK)が3.4%ずつ下落した。自動車生産の落ち込みを不安視。自動車業界団体の中国汽車工業協会は14日、主要メーカー15社の新車生産台数が今年1月上旬に前年同期比27.4%減の52万3000台に縮小したと報告した。


一方、本土市場は3日ぶり小反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.01%高の3566.38ポイントで取引を終了した。銀行株が高い。保険株、自動車株、不動産株、エネルギー株なども上昇した。半面、食品飲料株は安い。素材株、医薬品株、海運株、ハイテク株、公益株も売られた。

亜州リサーチ(株)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 15日の香港市場概況:ハンセン0.3%高で続伸、銀行セクターに買い