週明け21日の香港市場は値下がり。主要52銘柄で構成されるハンセン指数が前営業日比191.92ポイント(0.72%)安の26306.68ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が81.51ポイント(0.78%)安の10401.83ポイントとそろって続落した。売買代金は1438億8400万香港ドルにやや縮小している(18日は1664億7400万香港ドル)。


新型コロナウイルス感染再流行に警戒感が強まる流れ。英国では感染力の高いコロナ変異種の感染拡大で、首都ロンドンなどは3回目のロックダウン(都市封鎖)が20日から実施された。香港でも各所で集団感染(クラスター)が発生し、中国本土では大連市でコロナ警戒レベルが最高に引き上げられた。米国が対中制裁の動きを強めていることも不安材料。米商務省は18日、中国企業60社以上を「エンティティリスト(輸出規制対象リスト)」に加えたと発表した。


なお、中国では先週、翌年の経済政策の基本方針を決める「中央経済工作会議」が閉幕。国営メディアが18日伝えたところによれば、マクロ政策の「急転換」は行わない方針が確認されたほか、重要項目はほぼ予想通りの内容となっている。また、中国人民銀行(中央銀行)が朝方公表した事実上の貸出基準金利「ローンプライムレート(LPR)」に関しては、予想通り8カ月連続で据え置かれた。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、金融大手グループのHSBC(5/HK)が4.0%安、通信キャリア最大手の中国移動(チャイナ・モバイル:941/HK)が3.1%安、全国展開型デベロッパーの中国海外発展(688/HK)が2.7%安と下げが目立った。英国に本社を置くHSBCについては、同国のロックダウンがネガティブ材料。指数銘柄以外でも、英系の渣打集団(スタンダード・チャータード:2888/HK)が4.5%安と急落した。


このほか、ネット大手の阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)と騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)がそれぞれ2.2%安、1.4%安。規制強化の懸念が再燃した。上述した「中央経済工作会議」では、独占禁止の強化が2021年の重要課題のひとつとして挙げられている。


本土・香港の不動産セクターも安い。上記した中国海外発展のほか、融創中国HD(1918/HK)が2.7%、華潤置地(1109/HK)が1.9%、九龍倉置業地産投資(1997/HK)が2.5%、新世界発展(17/HK)が2.4%、恒隆地産(101/HK)が1.9%ずつ下落した。


空運セクターも売られる中国東方航空(670/HK)が3.9%安、国泰航空(キャセイ航空:293/HK)が3.1%安、中国国際航空(753/HK)が3.0%安、中国南方航空(1055/HK)が2.9%安で取引を終えた。


他の個別株動向では、半導体ファウンドリの中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が3.6%安。前記したエンティティリストには、同社も含まれている。米禁輸措置で開発・製造に支障が出ると懸念された。


半面、非鉄やレアアースなどの銘柄群はしっかり。江西カン鋒リ業(ガンフェン・リチウム:1772/HK)が5.9%高、金川集団国際資源(2362/HK)が3.7%高、中国稀土HD(チャイナ・レア・アース:769/HK)が2.5%高、洛陽モリブデン集団(3993/HK)が2.0%高、新疆新キン鉱業(3833/HK)が1.6%高、江西銅業(358/HK)が1.3%高で引けた。江西カン鋒リ業は連日で上場来高値を更新している。


一方、本土市場は反発。主要指標の上海総合指数は、前営業日比0.76%高の3420.57ポイントで取引を終えた。ハイテク株が高い。食品飲料株や小売株、非鉄株、医薬品株、証券株、海運株、防衛関連株なども買われた。半面、銀行株は安い。エネルギー株、不動産株、空運株も売られた。

亜州リサーチ(株)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 21日の香港市場概況:ハンセン0.7%安で続落、HSBC4.0%下落