8日の香港市場は値下がり。主要52銘柄で構成されるハンセン指数が前日比202.29ポイント(0.76%)安の26304.56ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が63.73ポイント(0.61%)安の10409.59ポイントとそろって続落した。売買代金は1354億1800万香港ドルとなっている(7日は1352億7400万香港ドル)。


米国の対中制裁を不安視する流れ。米政府は7日、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の幹部14人(いずれも副委員長)に金融制裁を発動し、米国への渡航も禁止した。米国はこのところ、対中制裁を相次ぎ打ち出している。トランプ米大統領の任期満了を来月に控え(2021年1月20日正午まで)、中国に対する圧力が加速する——と懸念される状況だ。新型コロナウイルス感染を巡る警戒感も高まる。香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は8日、コロナ感染症対策を強化すると発表した。また、中国四川省の成都市衛生健康委員会は、市内で7〜8日に新規感染者5人を確認したと発表。同地で新規感染者が確認されたのは今年3月以来となり、感染再拡大の不安感が広がった。もっとも、大きく売り込む動きはみられない。経済発展の「第14次5カ年計画(2021〜25年)」に対する期待感が根強いほか、中国景気が早期に持ち直すとの見方が相場の支えとなっている。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、石油・化学大手の中国石油化工(サイノペック:386/HK)が4.8%安、全国展開型デベロッパーの中国海外発展(688/HK)が4.0%安、石油大手の中国海洋石油(CNOOC:883/HK)が3.9%安と下げが目立った。


セクター別では、中国の不動産が安い。上記した中国海外発展のほか、首創置業(2868/HK)が3.6%、華潤置地(1109/HK)が2.4%、万科企業(2202/HK)が2.2%、龍湖集団HD(960/HK)が2.0%ずつ下落した。


医薬品セクターも急落。上海復宏漢霖生物技術(シャンハイ・ヘンリウス・バイオテック:2696/HK)が8.1%安、金斯瑞生物科技(1548/HK)が6.6%安、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス:6185/HK)が4.6%安、百済神州(ベイジーン:6160/HK)が4.2%安と売られた。


中国の銀行セクターもさえない。中国郵政儲蓄銀行(1658/HK)が3.4%安、中国工商銀行(1398/HK)が2.1%安、中国銀行(3988/HK)が2.0%安、中国建設銀行(939/HK)が1.9%安、招商銀行(3968/HK)が1.7%安と値を下げた。


半面、オンラインゲームなどネット関連の銘柄は物色される。中手遊科技集団(302/HK)が4.2%高、IGG(799/HK)が3.4%高、網易(ネットイース:9999/HK)が2.2%高、金山軟件(キングソフト:3888/HK)が1.5%高と値を上げた。「ニューエコノミー」関連に買いが広がり、ハンセン科技指数は1.8%高と反発。組み入れ上位銘柄では、小米集団(シャオミ・コーポレーション:1810/HK)が4.8%高、美団(メイトゥアン:3690/HK)が1.8%高などで取引を終えている。


他の個別株動向では、電子商取引(Eコマース)中国大手の京東集団(JDドットコム:9618/HK)傘下でオンライン医療サービスの京東健康(JDヘルス・インターナショナル:6618/HK)が本日新規上場。公募価格を55.9%上回る110.00香港ドルで引けた。京東健康は取引額ベースで中国最大の医療・ヘルスケアプラットフォームを展開している。


一方、本土市場は続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.19%安の3410.18ポイントで取引を終えた。金融株が下げを主導する。エネルギー株、運輸株、医薬品株、不動産株、インフラ関連株、防衛関連株なども売られた。半面、食品飲料株は高い。自動車株、ハイテク株、産金株も買われた。

亜州リサーチ(株)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 8日の香港市場概況:ハンセン0.8%安で続落、科技指数は1.8%上昇