4日の香港市場は値上がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比107.42ポイント(0.40%)高の26835.92ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が38.28ポイント(0.36%)高の10624.65ポイントとそろって続伸した。売買代金は1722億6500万香港ドルに拡大している(3日は1354億5000万香港ドル)。


中国景気の持ち直しが改めて意識される流れ。今週初めに官民で公表された11月の製造業PMIがそろって上振れるなど、これまでに報告された経済指標は良好なものが多くみられている。来年から始まる「第14次5カ年計画(2021〜25年)」を見据え、政策の恩恵を受けやすい銘柄群が物色する動きが強まったこともプラス。新5カ年計画では、内需の掘り起こしが主要テーマとなっている。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、乳製品メーカー中国大手の中国蒙牛乳業(2319/HK)が6.0%高、保険事業で中国2位の中国平安保険(2318/HK)と電子商取引(Eコマース)中国最大手の阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)がそろって2.6%高、民間自動車メーカーの吉利汽車HD(175/HK)が2.2%高と上げが目立った。


セクター別では、消費関連がしっかり。上記した蒙牛乳業やアリババのほか、食品の康師傅HD(ティンイー:322/HK)と統一企業中国HD(ユニプレジデント・チャイナ:220/HK)がそれぞれ6.4%高、2.7%高、酒造の青島ビール(168/HK)が2.6%高、家電の創維集団(スカイワース・グループ:751/HK)が1.4%高で引けた。


海上輸送やコンテナリース・生産、港湾など運輸関連セクターも物色される。中遠海運HD(1919/HK)が3.5%、中遠海運能源運輸(1138/HK)が1.2%、中遠海運発展(2866/HK)が10.3%、中国国際海運集装箱(中国国際コンテナ:2039/HK)が2.1%、廈門国際港務(アモイ国際港務:3378/HK)が7.5%、天津港発展HD(3382/HK)が3.2%ずつ上昇した。


他の個別株動向では、「蘋果日報(アップル・デイリー)」などを発行する香港メディア大手の一伝媒(ネクスト・デジタル:282/HK)が取引再開後に19.7%急騰(一時100%高)。支持者の「応援買い」が入ったと市場でみられている。香港の裁判所は3日、同社の創業者で民主派寄りの黎智英氏の保釈申請を却下した。黎氏が8月に逮捕された際には市民の応援で広告、発行部数が急増し、2営業日だけで株価が20倍に膨張した経緯がある(急騰後は2営業日で65%下落)。


ただ、上値は重い。米中対立の警戒感が改めて意識される。米国防総省は3日、中国人民解放軍が所有、または支配していると見なされる中国企業のリスト(通称、ブラックリスト)にICファウンドリ中国最大手の中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)など4社を追加したと正式発表した。寄り付き直後に売買を一時停止したSMICは後場に取引再開し、5.4%値下がりしている。


石油生産・化工や掘削などエネルギー関連セクターが安い。中国海洋石油(CNOOC:883/HK)が3.9%、中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)が1.2%、中国石油化工(サイノペック:386/HK)が2.5%、中海油田服務(2883/HK)が2.8%ずつ下落した。中国海洋石油の親会社は、上述の軍関連企業リストに追加されている。


一方、本土市場は3日ぶり反発。主要指標の上海総合指数は、前日比0.07%高の3444.58ポイントで取引を終えた。食品飲料株が高い。医薬品株、海運株、防衛関連株、素材株の一角も買われた。半面、ハイテク株は安い。金融株、不動産株、自動車株、公益株、エネルギー株、空運株なども売られた。

亜州リサーチ(株)


<FA>
情報提供元: FISCO
記事名:「 4日の香港市場概況:ハンセン0.4%高で続伸、消費関連に買い(訂正)