9日の香港市場は小幅に値下がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比74.22ポイント(0.31%)安の24119.13ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が6.63ポイント(0.07%)安の9617.85ポイントとそろって続落した。売買代金は1125億4700万香港ドルに拡大している(8日は877億8900万香港ドル)。

新型コロナウイルス感染再拡大が投資家心理を冷やす流れ。香港当局が8日発表した最新データでは、地場の感染者数が再び増加傾向を示している。欧州や米国でも同様に感染者数が増加。各種の規制に乗り出している。経済活動の正常化が遅れるとの見方が強まる中、景気の先行きも不安視された。米中関係の悪化懸念が依然としてくすぶっていることもマイナス材料視されている。

ただ、下値は堅い。指数は小高く推移する場面もみられている。昨夜の米株高や、この日の本土株高が支えとなった。9日ぶりに取引を再開した本土マーケットでは、主要株価指数が軒並み上昇。連休中の海外株高に加え、国内消費市場の堅調が追い風となった。中国商務部は8日、国慶節連休(1~8日)の国内小売・飲食業の売上高が1兆6000億人民元(約25兆円)に上ったと報告。昨年の国慶節連休と比べて、1日当たり売上高が4.9%増加したことを明らかにした。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、アップルに部品供給する小型電子部品メーカー大手の瑞声科技HD(AACテクノロジーズ・ホールディングス:2018/HK)と光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382/HK)がそれぞれ2.7%安、2.6%安、マカオ・カジノの金沙中国(サンズ・チャイナ:1928/HK)が2.2%安と下げが目立っている。舜宇光学科技と瑞声科技は前日まで、アップルが「10月13日(米時間)にスペシャルイベントを開催する」と速報したことを材料に買いが続いていた。国慶節連休中のマカオ訪問客数は、前年同期比で1日当たり86%も減少したという。

セクター別では、香港の不動産関連が安い。九龍倉置業地産投資(1997/HK)が1.9%、新世界発展(17/HK)が1.8%、領展房地産投資信託基金(823/HK)が1.6%ずつ下落した。
中国不動産セクターもさえない。中国恒大集団(3333/HK)が3.2%安、龍湖集団HD(960/HK)が2.3%安、世茂房地産HD(813/HK)が1.5%安、融創中国HD(1918/HK)が0.8%安で引けた。

半導体や通信設備・工事など5Gネットワーク関連も売られる。中芯国際集成電路製造(SMIC:981/HK)が1.5%安、ASMパシフィック・テクノロジー(522/HK)が1.3%安、京信通信系統HD(2342/HK)が2.4%安、中国通信服務(552/HK)が1.9%安、中興通訊(ZTE:763/HK)が1.8%安と値を下げた。米格付会社のS&Pグローバル・レーティングは7日、米国による輸出制限を理由に、SMICを格下げ方向で検討する「クレジット・ウォッチ・ネガティブ」に指定したことが引き続き売り材料。「ジャンク級(投機的等級)」転落の不安が広がっている。

半面、医薬品セクターの一角は高い。山東新華製薬(719/HK)が3.5%、中国神威薬業集団(2877/HK)が3.2%、緑葉製薬集団(2186/HK)が2.7%、百済神州(6160/HK)と上海復星医薬集団(2196/HK)がそろって2.2%ずつ値を上げた。

一方、連休明け本土市場は反発。主要指標の上海総合指数は、前営業日比1.68%高の3272.08ポイントで取引を終えた。ITハイテク株と医薬品株が高い。消費関連株、資源・素材株、インフラ関連株、海運株、不動産株、金融株なども買われた。

亜州リサーチ(株)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 9日の香港市場概況:ハンセン0.3%安で続落、アップル関連下げ目立つ