15日の香港市場はまちまち。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比3.69ポイント(0.01%)高の25481.58ポイントと小反発する半面、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)は14.73ポイント(0.14%)安の10390.54ポイントと続落した。売買代金は1641億7000万香港ドルとなっている(14日は1789億4600万香港ドル)。(亜州リサーチ編集部)


新型コロナワクチンの期待感が相場を支える流れ。米モデルナが開発中のワクチンについては、初期臨床試験で被験者全員が抗体を獲得するなど良好な結果が得られたという。後期臨床試験は今月27日ごろに始まる予定。経済活動の早期正常化につながるとの楽観スタンスが先行した。

もっとも、上値は重い。米中対立の激化が警戒されている。トランプ米大統領は14日、「香港国家安全維持法」を巡り、関与した中国の当局者や企業、取引関係にある銀行に制裁を科す「香港自治法案」と、米国が香港に認めてきた優遇措置を廃止する大統領令に署名した。香港自治法の成立を受けて中国外交部は、「必要な措置をとる」と改めて声明している。このところ両国は新型コロナウイルス、ハイテク、国家安全保障など様々な分野で対立を深めている状況だ。

ハンセン指数の構成銘柄では、中国ニット衣料最大手の申洲国際集団HD(2313/HK)が4.7%高、インターネットサービス中国最大手の騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が3.4%高、電動工具メーカー大手の創科実業(テクトロニック・インダストリーズ:669/HK)が2.9%高、医薬品メーカーの石薬集団(1093/HK)が1.5%高と上げが目立った。

セクター別では、医薬品が高い。上記した石薬集団のほか、上海復星医薬集団(2196/HK)が10.6%、上海復宏漢霖生物技術(シャンハイ・ヘンリウス・バイオテック:2696/HK)が4.8%、翰森製薬集団(3692/HK)が3.1%、金斯瑞生物科技(ジェンスクリプト・バイオテック:1548/HK)が2.7%、康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス:6185/HK)が1.9%ずつ上昇した。上海復星医薬集団に関しては、子会社が開発する血液がん治療薬の臨床試験認可が支援材料となっている。

半面、中国銀行セクターは安い。中国民生銀行(1988/HK)が2.1%、交通銀行(3328/HK)が1.7%、招商銀行(3968/HK)が1.6%、中国工商銀行(1398/HK)と中信銀行(CITICバンク:998/HK)がそろって1.4%、中国建設銀行(939/HK)が1.3%ずつ下落した。香港自治法の発動で米国がドル資金を締め付けた場合、ドル決済業務に支障が出ると懸念されている。

中国自動車がセクターもさえない。比亜迪(BYD:1211/HK)が4.3%安、広州汽車集団(2238/HK)が3.8%安、吉利汽車HD(175/HK)が2.2%安、東風汽車集団(489/HK)が1.0%安、北京汽車(1958/HK)が0.8%安で引けた。

一方、本土市場は続落。主要指標の上海総合指数は、前日比1.56%安の3361.30ポイントで取引を終えた。銀行株が下げを主導する。ハイテク株、不動産株、自動車株、インフラ関連株、海運株、資源・素材株なども売られた。半面、医薬品株は高い。証券株、食品飲料株、空運株も買われた。

亜州リサーチ(株)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 15日の香港市場概況:ハンセン0.01%高で小反発、米中対立の懸念で上値は限定的