11日の香港市場は大幅に値下がり。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比569.58ポイント(2.27%)安の24480.15ポイントと続落し、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が198.88ポイント(1.96%)安の9944.60ポイントと3日ぶりに反落した。売買代金は1424億3100万香港ドルにやや拡大している(10日は1272億5500万香港ドル)。

米景気の早期回復期待がやや後退する流れ。パウエル、米連邦準備制度理事会(FRB)議長は米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で、新型コロナウイルスの経済に対する打撃は深刻だとの認識を示したうえで、当分は高失業率の状態が続くと指摘した。FOMCでは現行の金融政策を維持し、少なくとも2022年までゼロ金利を継続する方針を示したものの、逆に、景気低迷の長期化が意識されている。

中国指標の下振れも重し。昨日のマーケット引け後に発表された5月の中国金融統計では、人民元建て新規融資が予想以上に前月から縮小した。10日朝方公表された同月の物価統計も下振れている。指数は今月に入ってからの上昇ピッチが速く、足元では約3カ月ぶりの高値水準を回復していただけに、戻り待ちの売り圧力も高まっていた。取引時間中に始まった欧州市場の株安や、時間外取引のNYダウ先物の下げ幅拡大をにらみながら、香港の各指数は引けにかけて一段安となっている。

ハンセン指数の構成銘柄は全面安マカオ・カジノの銀河娯楽集団(ギャラクシー・エンターテインメント:27/HK)が5.1%安、金融大手グループのHSBC(5/HK)が4.8%安、通信キャリア大手の中国聯通(チャイナ・ユニコム:762/HK)が4.3%安と値下がり率上位に並んだ。

セクター別では、石油生産・化工や掘削、天然ガスなどエネルギー関連が安い。中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)が3.2%、中国海洋石油(CNOOC:883/HK)が2.5%、中国石油化工(サイノペック:386/HK)が2.8%、中海油田服務(2883/HK)が6.8%、昆侖能源(クンルン・エナジー:135/HK)が2.8%ずつ下落した。時間外取引のWTI原油先物は急反落している。

海運・空運セクターも急落。太平洋航運集団(2343/HK)が5.9%安、中遠海運能源運輸(1138/HK)が4.0%安、中国南方航空(1055/HK)が5.2%安、中国東方航空(670/HK)が2.9%安、中国国際航空(753/HK)が2.8%安で引けた。

半面、「在宅消費」の関連銘柄はしっかり。ADRで米上場するオンラインゲーム中国大手の網易(ネットイース:9999/HK)は本日、香港市場に重複上場し、公募価格(123.00香港ドル)比5.7%高の130.00香港ドルで前場を終えた(寄り付きは8.1%高)。
そのほか、飲食など生活関連ポータルサイトの美団点評(メイトゥアン・ディエンピン:3690/HK)が3.4%高、オンライン健康相談サービスや医薬品Eコマースなどの阿里健康信息技術(アリババ・ヘルス:241/HK)が1.6%高、オンラインゲー
ム中堅の網龍網絡HD(ネットドラゴン:777/HK)が1.0%高、オンラインゲーム・ソフト開発の金山軟件(キングソフト:3888/HK)が0.6%高など上昇した。美団点評は上場来高値を更新している。

一方、本土市場は続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.78%安の2920.90ポイントで取引を終えた。金融株が下げを主導。食品飲料株、資源・素材株、不動産株、医薬品株、運輸株、インフラ関連株、公益株なども売られた。半面、自動車株の一角は高い。ITハイテク株、夜間経済(ナイトエコノミー)の関連銘柄も買われた。

亜州リサーチ(株)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 11日の香港市場概況:ハンセン2.3%安で続落、米中の景気回復期待やや後退