10日の香港市場はまちまち。主要50銘柄で構成されるハンセン指数が前日比7.49ポイント(0.03%)安の25049.73ポイントと8日ぶりに反落する半面、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)は22.35ポイント(0.22%)高の10143.48ポイントと続伸した。売買代金は1272億5500万香港ドルとなっている(9日は1242億5200万香港ドル)。

中国指標の下振れが重し。朝方公表された5月の物価統計では、企業活動の目安となる生産者物価指数(PPI)のマイナス率が予想(-3.3%)を超える-3.7%を記録した。消費者物価指数(CPI)も予想(+2.7%)を下回る+2.4%で着地している。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を11日未明(日本時間)に控えていることも、気がかり材料として意識された。香港ドルは米ドルのペッグ制を採用しているため、香港の金融政策も米国に追随する傾向が強い。

ただ、ハンセン指数はプラス圏で推移する場面もみられた。世界的に経済活動の再開が進んでいることに加え、中国の政策に対する期待感が支えとなっている。李克強首相は9日の国務院常務会議で、地方財政に2兆人民元(約30兆4400億円)を直接交付する方針を決定。地方政府による経済対策の財源となる。

ハンセン指数の構成銘柄では、香港関連の下げが目立つ。恒基兆業地産(12/HK)が5.4%安、九龍倉置業地産投資(1997/HK)が4.5%安、信和置業(83/HK)が2.5%安、香港鉄路(MTR:66/HK)が2.4%安で取引を終えた。

セクター別では、石油生産・化工や石炭、天然ガスなどエネルギー関連が安い。中国石油天然気(ペトロチャイナ:857/HK)が1.4%、中国石油化工(サイノペック:386/HK)が1.9%、中国神華能源(1088/HK)が1.7%、昆侖能源(クンルン・エナジー:135/HK)が1.8%ずつ下落した。

空運セクターもさえない。中国東方航空(670/HK)が3.5%安、中国南方航空(1055/HK)が2.9%安、中国国際航空(753/HK)が1.9%安、国泰航空(キャセイ航空:293/HK)が1.0%安で引けた。中国の航空当局が発表した月次統計では、5月の旅客数が前年同月比で50%超減少したことが判明。業況改善の遅れが懸念されている。大規模な資本増強計画を発表し、取引再開した国泰航空は一時18.7%高と急伸したものの、引けにかけて急失速した。中国国際航空はキャセイの増資を引き受けると発表している。

半面、「在宅消費」の銘柄群は高い。モバイルゲーム運営の中手遊科技集団(302/HK)が7.6%、飲食など生活関連ポータルサイトの美団点評(メイトゥアン・ディエンピン:3690/HK)が5.4%、インターネットサービス中国最大手の騰訊HD(テンセント・ホールディングス:700/HK)が2.9%、中国Eコマース最大手の阿里巴巴集団HD(アリババ・グループ・ホールディング:9988/HK)が1.5%ずつ値を上げた。ネット関連銘柄の新規上場が刺激。ADRで米上場するオンラインゲーム中国大手の網易(ネットイース:9999/HK)はあす、香港に重複上場する。同社のIPO(新規株式公開)は人気化し、公募倍率が360倍を超えた。テンセントについては、大手ブローカーの強気見通しもプラス材料。JPモルガンは最新リポートで、人気スマホゲームの相次ぐ投入により2020~21年の利益が大幅に伸びるとの見解を示している。

一方、本土市場は4日ぶり反落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.42%安の2943.75ポイントで取引を終えた。エネルギー株が安い。空運株、不動産株、自動車株、金融株、ハイテク株の一角なども売られた。半面、医薬品株は高い。消費関連株の一角も買われた。
亜州リサーチ(株)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 10日の香港市場概況:ハンセン0.03%安で8日ぶり反落、香港銘柄に売り